今日はkit LS 3/5a Black Special渾身のメインテナンスから。

保護フィルムも剥がされていない新同品なので外観的には問題ありません。ただスピーカーはアンプ以上にデリケートですから内部も含めしっかり確認していきます。

ネットワーク基板にアクセスします。2Wayでこれだけ複雑な帯域分割回路をもっているのはLS直系の証。元々セメント抵抗を使っていた部分を金属皮膜抵抗に替え、ケミコンは低ESR品、フィルムコンは低誘導の選別品を採用...と当時拘ってMODした記憶がよみがえります。

端子部はピカピカですが念のため研磨。

ユニットも掃除しておきます。

ユニットはもちろんバッフルの再固定時も同トルクで締め込んでいきます。箱の振動モードが変わると聴感上の混変調が増えますので、見えざる重要なチューニングポイントです。

作業が終わってエージング。今日は1988年ロットのWestern Electric 300Bのエージングもやっていたので、二台一緒に慣らし込むことにしました。300Bだと若干too sweetかもしれません。意外と半導体アンプで使って下さっている方も多いのですが、kit LSには多極管ppが最も合うようです。
認定中古のチェックが完了したので、滞り気味だったメンテ完了品, 組立代行品の作業に移行します。

パラシングルを構成している4本の300Bのうち一本が劣化により暴走。バイアス電圧検出抵抗が過熱し、基板パターンが炭化し断線という状況でした。メーカーサポートが切れていても当社から販売した製品に関しては専用パーツが入手できない等の事情ない限り何とかなる(したい)と思っています。カルテをみると購入2014年。まだまだこれからです。

これはSV-353未組立キットの組立代行依頼品。非選択パワーアンプの入力HOT/COLD間ショート, 出力8Ωダミーロード終端, 選択アンプのアクティブ化1sec.遅延切替による安定動作, シグナルパスの最短化による音質劣化の防止等、単なる接点切り替え機でないセレクターを作ろうと考えたのは20年近く前でしょうか。これから活躍してくれると思うと感慨もひとしおです。