私が高校生の頃のこと、今から40数年前のことですが、”つめくろ(爪黒)”なる言葉が使われた時期がありました。”爪の中まで真っ黒になる仕事”的な意味で使われていたと記憶していますが、90年頃よく云われた”3K(職場)”に似たニュアンスだったと思います。
私はまさに”つめくろな日々”を満喫しています。今日も10年前, 20年前のアンプの汚れを落とし、曇ったステンレスにバフ掛けし、加水分解でドロドロになったゴム系パーツを溶剤で除去し交換…電気的修復も含め一台仕上げるのに半日近く掛かることもありますが、入荷時とは見違えるようにきれいになったアンプを眺めると、本当に清々しい気持ちになります。
今日の成果をみて下さい。

左からTriode TRV-A88 (2003年), SV-3前期 (2002年), Elekit TU-878CD (2003年)の整備が終わり、3台を繋いで音を聴いているところです。音源は盟友Udai Shikaのプロジェクト”ミニマルエンジン”のCD「
Minimalism(ミニマリズム)」。音楽もオーディオもシンプルを極めたところにある美しさを感じているところです。
高校生だった頃の自分は、まさか自分がこのような日々を過ごしていると全く想像もしなかった訳で、まさに人生万事塞翁が馬ですが、たぶん自分はこういう事がDNA的に好きなんだと思います。
下ろしたての新品はもちろん気持ちが良いですが、これらの機器のように人から人へ受け継がれていく仕事に関わらせていただいていることを大変誇りに感じています。大切に使っていただける方にお納めできれば幸いです。