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PSVANE WE274B入荷検査~直熱整流管と傍熱整流管のちがい~

今日は整流管の入荷検査について書いておこうと思います。整流管も選別するの?と思われた方もおられるかもしれません。整流管は今でいうところのダイオードですから基本的には交流電流を直流電流に変換するための機能を有していれば音が出る訳で個体的選別は不要です。

ただ一部の整流管、特に今日検査を実施したPSVANE WE274Bのように意図的に内部抵抗を上げてヴィンテージ274Bと同様の管内降下電圧を持たせた整流管の場合は、個体間のレギュレーション(整流効率)に最大で数%の差異が発生しますので、モノアンプの整流管更新等で2台のDC環境を揃えたい場合には有効な手法です。またオールド整流管の場合はどの程度劣化しているかを確認したい場合にも便利です。
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検査したのはPSVANE WE274Bです。整流管をチェックする場合は消費電流が大きいアンプでないと差異が現れませんので、今日はSV-91B / Western Electric 300B仕様で実電流を測定することで整流管それぞれの整流効率を相対比較します。
PSVANE WE274B入荷検査~直熱整流管と傍熱整流管のちがい~_b0350085_04191435.jpg
この場合に必要なのは定電圧電源です。商用100Vは絶えず変動しているので、一次側電圧が正確にレギュレートされていないと測定の正確性が担保されません。また整流管も他の真空管同様、電源ONから安定するまでに一定の時間が必要ですので測定タイミングも同じでないと意味がありませんからキッチンタイマーも用意しておきます。

今回入荷したPSVANE WE274BはSV-91B上の電流がすべて1.95A~1.98A間に分布しており、異常を示す個体は一本もありませんでした。ちなみにWestern Electric 274Bでもほぼ同じ状況ですので、今ロットに関していえば適正に製造品質が管理されているといえます。

ちなみに同じ条件でMullard GZ37に替えてみると2.1A程度流れます。これは274Bが直接, GZ37が傍熱であることから説明がつきます。つまり傍熱タイプの方がレギュレーションが良いということを示しており、Western Electric 422A等でも同様の挙動を示します。

単純に整流効率でいえば傍熱タイプの方が優れているともいえる訳ですが、直熱整流管特有の滑らかな音質にシンパシーも感じられる方も多く、料理の味の好みと同じで単に優劣で語るべきではありません。

SV-EQ1616DやSV-Pre1616D等、直熱タイプ,傍熱タイプの両方が使えるアンプの場合は整流管によってかなり音質が変化しますので未経験の方はお試しになると良いでしょう。5AR4 / GZ34が力強い, 274Bが繊細などと言われるのも、その構造の違いによって整流効率が変化し、結果的に各増幅管のプレート電圧が変化することががベースになっているからなのですね。


by audiokaleidoscope | 2024-12-13 23:59 | オーディオ

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