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チームプレーと弘法の筆

今日はSV-P1616D / KT88仕様から。これは組立代行品でも修理依頼品でもありません。或る企業さんが社員研修の一環としてSV-Pre1616DとSV-P1616Dのキットを題材とし、若手~中堅の社員さん(20代~40代)が10名程度のチームでキットを組み上げるというプロジェクトで出来上がった機台です。

組み上がったら実機をお預かりし、電気的測定とモノづくり面からのレビューをさせていただく約束をさせて頂いておりましたので、早速拝見させて頂いているところです。
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この研修を通じメンバーの方が何を感じ、どんな達成感や問題意識を感じられたかは私には知る由もない訳ですが、経験も知識も異なるメンバーが協働することの難しさをきっと感じられたのではないかと思います。

一ケ所でも加工不全があればトータルの品質に問題が出る訳で、各メンバーがどの工程を担当するか宣言し、着手し、チェックし、問題があれば是正することで当該工程において責任をもつ...この「自工程完結」が機能しないとトータルの品質は担保されません。

”たぶん次の人がちゃんとやってくれるだろう”でなく、自身の責任範囲の明確化と問題点の共有, 次工程への引継ぎ等、チームプレーが機能するための欠くべからざる要件をアンプ製作から学んで頂けたのであれば素材を提供させて頂いた者としては本望です。

年内に社内で完成披露と試聴会が行われるそう。まずは二台ともぶじ鳴っていることをお知らせしたい思います。おつかれさまでした!

次はSV-284D / バランスドシングル(MONO×2)_845仕様の組立代行品のエージング工程です。
チームプレーと弘法の筆_b0350085_20093798.jpg
よく”サンバレーさんのアンプは使いこなしは難しいけれど、組み合わせる機器やセッティングが決まるとどれも凄い音で鳴りますよね”と言われます。これは誉め言葉でもあり、裏腹に使う方に一定のスキルと経験を要求する難しさもあることを示唆していると常々感じています。

いまから10年以上前のことですが、世界的に有名なアーティストが来日した時、終演後の楽屋で少しお話をさせていただきました。愛用する1733年製のモンタニアーナと1712年製のストラディヴァリの2台の楽器の違いについて、”ストラドは使う人と時を選びます。技量や経験だけでなく自分のコンディションも良くないと忽ち(たちまち)撥ね返されるんです。その代わり環境が整い、自分も調子がいい時はすごい音がします”...こんな事を話してくれたことを忘れません。

弘法は筆を選ばずと言いますが、道具は佳き使い手を得て初めてそのパフォーマンスを十全に発揮し得るのかもしれません。初心者がマニュアルのポルシェに乗ってもスピンするのが関の山と言った人もいますが、まさに人と道具の良きコラボレーションこそが最良の結果をもたらすのは車でも楽器でもオーディオでも同じなのでしょう。この284Dも相応しい方に末永くご愛用いただけることを願うばかりです。


by audiokaleidoscope | 2024-12-11 23:59 | オーディオ

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