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Cremonaが教えてくれたこと

最初にご相談をいただいて5ヶ月。やっとソナス・ファベールCremonaが主のもとで復活を遂げました。

3Way4スピーカーを構成する左右計8ユニットのうち6ユニット(ミッドバスとウーハー)のボイスコイル引出線とモール線の接合部が接着剤によって酸化断線するという予期せぬトラブルでしたが、輸入元が推奨するユニット全交換を回避でき、オリジナルの音色を放棄せずに完了できたことを大変嬉しく思います。その経緯はこちらに記載した通りです。

その後、輸入元でストリング(サランネットの代わりにバッフル面にゴム系の”紐”が何十本と張られています)の張替も完了し、本日再納品となりました。
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SV-310(プリ)とSV-38T(845パワーMONO×2)のオーバーホールは既に完了して納品済だったのですが、久しぶりに甘美に歌うCremonaにお客さんも破顔一笑、とても嬉しそうにされていました。導入から20年経ってシステム全体を新品再生できたということは本当に気持ちが良いことでした。

このCremonaはツィ―ターがハードドームで聴感上の音速が速いのに対してウーハーは比較的ゆったりと量感を伴って鳴る傾向ですので、上述のストリングが全体の音速感を揃え、纏める重要な役割をもっています。初期のソナスではこのストリングが伸びてダラダラになっていることもあり、多くの方が外しておられますが、基本このストリングあってのソナスであることを改めて感じました。いわゆる”トールボーイ”スタイルのスピーカーの中でも出色の存在で、持つ歓びと使う感動を両立した数少ないモデルの一つです。

Cremonaの音が耳に残るなか、帰宅して我が家でも唯一のトールボーイを鳴らしています。TAD M-1の系譜を引く、”少年(ボーイ)”というには少々大き過ぎる、その長身のスピーカーは低域のダンピングが恐ろしく効いていて、半導体アンプではモニター的色合いが強くホームユースにはやや使いにくい側面がありますが、駆動力の或る真空管アンプでは適度な鷹揚さが出てジャンル, 音量の制約なく楽しめます。
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この手の現代スピーカーを真空管アンプで鳴らしている方は少ないと思いますが、アンプによってこんなに音が変わりますよという事を知る一つのサンプルにはなるでしょう。

オーディオに決まりはない...求められるのは機器への愛情と明確な”目指す音”のイメージ...こんな気持ちになったのもCremonaの修復に関わらさせて頂いたお陰ですね。


by audiokaleidoscope | 2024-12-05 23:59 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


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