ふたたび繋がった糸
2024年 12月 04日
33歳でこの仕事を始めて気が付けば還暦。その間、数えきれないほどの出会いがあり別れも当然あった訳ですが、切れていたと思った糸が再び繋がる経験も沢山してきました。今日もそんな一日でした。


6C33C-Bプッシュプルで出力は40W+40W。6C33C-BをOTLでなく敢えてコンベンショナルなトランス出力付で設計したオール手配線モデル。トランス重量だけで20kgを超える大型機でした。
20年前と今とではパーツ事情も激変で、例えば電源部に使う500V耐圧クラスのチューブラ型ケミコンなどは絶滅といっても良いですし、機構系パーツもどんどん無くなっています。発注しようとすると”3000個買ってくれるんなら作りますよ”的な返答が当たり前になってきました。
このアンプに搭載の出力管6C33C-Bはミグ(MIG-25)に搭載されていたことで一躍有名になった真空管ですが、ソ連崩壊を機に西側に放出され、一時期は9本入りの木箱単位で投げ売りされていたものですが、いまや殆ど見ることのない貴重な物となりました。
時間がかかっても失われたパーツの代替品を探して、必ずや音が出る状態でお返ししたいと思っています。それが20年ぶりに糸を繋げてくだたお客さんへの、私どもが出来る唯一の返礼だからです。