”Cohearent Records”というレーベル
2024年 11月 21日

最初このLPを聴いた印象は調音されたスタジオでなく、プライベート或いはリハーサル室のような空間で録られたセッション録音をそのままテープで聴いているような妙な生々しさが印象に残りました。言い換えれば”素材そのまま”…定位をいじったりリバーブをかけたりコンプで如何にも”音を良くしました!”的なギミックの全くないサウンドです。
それもその筈。ライナーノートを見ると…


聴くオーディオの世界では圧倒的少数派の真空管ですが、演奏あるいは音源制作の世界では全てとは言わないまでも、今やステージやスタジオに真空管機材があることがあたり前になっています。それは温度感の高い、言い換えればリアルで、音の質量がしっかりしている音が望まれていることを示しているからと言えるでしょう。


いまやDAW(Digital Audio Workstation)を使えば編集, ミキシング, マスタリングはもちろん、打ち込み, 差替え, 音程の修正まで難なく出来てしまう時代。特定の楽器を前に出すとか後ろに引っ込めるなんてことまで簡単に出来てしまいます。そんななかでこういう”真っ当”(すぎる)音作りも残っていって欲しいものです。
このスタジオのオーナーKevin GrayさんはCohearentというレーベル名にきっと本来の意味である、”一徹”とか”愚直な”とか”頑固な”という意味も含めて名付けたのではないか…そんなことも考えながら聴いているところです。なかなか面白いレーベルです。