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”Cohearent Records”というレーベル

昨年1月リリースなので新譜というのは少々苦しいですが、ちょっと注目のLPを見つけたので紹介します。
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Shapes & Sound / Kirsten Edkins [Analog] (裏ジャケ)

リリースはLos Angelesの”Cohearent Records”という恐らく小規模のレーベルから。Cohearent(コヒレント)という言葉は、オーディオの世界では”Phase Cohearent”なんて使われ方をすることがあり、”位相特性に優れた”というような意味で使用される言葉です。そう言えば30年くらい前にCOHEARENCEというプリアンプもありましたね。

最初このLPを聴いた印象は調音されたスタジオでなく、プライベート或いはリハーサル室のような空間で録られたセッション録音をそのままテープで聴いているような妙な生々しさが印象に残りました。言い換えれば”素材そのまま”…定位をいじったりリバーブをかけたりコンプで如何にも”音を良くしました!”的なギミックの全くないサウンドです。

それもその筈。ライナーノートを見ると…
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”1954年から64年の10年間はしばしば音楽録音における”ゴールデン エイジ”と呼ばれ、それは完全に真空管全盛期と一致する”…という書き出しで紹介が始まるCohearnt Recordsの音源はマイクからカッター・ヘッドつまり入り口から出口まで全て真空管機器で収録されています。
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photo by courtesy of nicelocal.com

聴くオーディオの世界では圧倒的少数派の真空管ですが、演奏あるいは音源制作の世界では全てとは言わないまでも、今やステージやスタジオに真空管機材があることがあたり前になっています。それは温度感の高い、言い換えればリアルで、音の質量がしっかりしている音が望まれていることを示しているからと言えるでしょう。
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昨今流行りのデジタル的に構築されたイマーシブ(没入感)でなく、まさに生野菜を頬張るような鮮度感。これぞアナログ, これぞ真空管といえる音になっています。装置のレベルが上がれば上がるほど、この良さが分かる筈です。
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この音の感じを別の盤でも聴いてみたくてDiscogsを調べるともう1タイトル出ているみたいですが、国内でもどこも売切れか取り寄せ…そうなると余計に聴いてみたくなりますね。

いまやDAW(Digital Audio Workstation)を使えば編集, ミキシング, マスタリングはもちろん、打ち込み, 差替え, 音程の修正まで難なく出来てしまう時代。特定の楽器を前に出すとか後ろに引っ込めるなんてことまで簡単に出来てしまいます。そんななかでこういう”真っ当”(すぎる)音作りも残っていって欲しいものです。

このスタジオのオーナーKevin GrayさんはCohearentというレーベル名にきっと本来の意味である、”一徹”とか”愚直な”とか”頑固な”という意味も含めて名付けたのではないか…そんなことも考えながら聴いているところです。なかなか面白いレーベルです。



by audiokaleidoscope | 2024-11-21 23:59 | オーディオ

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