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先輩に学ぶ

昨日はちょっとザンネンなお話からスタートしてしまいましたが、やはり世間には拾う神あり...今日はとても嬉しいことがありました。

自社製品の再生事業プログラムを始めて数年、ときどきお客さんの組み立てたアンプを拝見して、その技術レベルの高さに感動すら覚えることがあります。今日もそんな”作品”との出会いがありました。
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SV-2 ver.2003 (2006年当社出荷)
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SV-3 前期 (2002年当社出荷)

この2台は同じお客さんが組まれたもので、外観, 引き回し, 仕上り特性いずれも超特級品といえるもの。言い方が適切かどうかは分かりませんが、当社で辣腕を奮ってくれている剛腕組立職人のシゴトに引けを取らないレベルです。買取りが成立したら12月の認定中古として出品できれば嬉しいです。

カルテを確認すると20年選手の機台であるにも関わらず、内部パーツや真空管の状態もほぼ新同といえるものでした。査定完了の報告とともに素晴らしい技術に対する敬意を表させていただこうと電話すると70代後半のご本人とお話をすることが出来ました。

聞いて納得、このお客さんは有名電気メーカーのサービス担当をされていた方。当社職人にも同じようなキャリアを持つ方がおられますが、やはり厳しいプロの世界で鍛えたれた方は基本が違うなあと思います。機構締結の確実さ、引き回しの適切さ、ハンダがしっかりと浸潤しているその見事なテクニックに惜しみない賞賛を申し上げると、お客さんも大変喜んで下さいました。

「50代の頃、作るのが楽しくて沢山作らせていただきました。他にも作ったきり使っていないアンプがゴロゴロしてるんですよ」と仰って暫しアンプDIY談議に華咲きました。

私どものお客さんの平均年齢は60代半ば以上の方が中心。真空管全盛期を知っている方が大半です。今やタマアンプの自作派=無人島に独りで住んでいる仙人みたいな感じもなくもないですが、昔はどんな家にハンダゴテがあって、ちょっとした修理などは自分でやるのが普通でした。完成品には物品税がかかってラジオはもちろんテレビのキットもあった時代です。

いつしか世の中は大量に生産されたものを大量に消費し、結果として大量に廃棄することが当たり前になりました。その結果、地球は瀕死の状態になりつつあると申し上げても過言ではありません。

一度手にした便利さを放棄することは正直難しいかもしれませんが、せめて自分が手にしたものは最後まで大切に使い、使命を終えても次の方に託せる世の中であって欲しい...素晴らしい先輩の匠に触れて、改めてそう思った今日でした。


by audiokaleidoscope | 2024-11-14 23:59 | オーディオ

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