となりの大銀杏を眺めるのが毎朝のルーティン。少し色づいてきたようです。

さあ、今日も頑張っていきましょう!物流センター内の作業場へ向かいます。

高電圧エリアゆえ私一人しか入れない場所です。まずはVP-3000(300Bppプリメイン, 2005年当社出荷)から。片チャンネルから音出ずの申し出。

回路図を見ながら電圧を測っていきます。一切無駄のない化学構造式のような美しさに見とれてしまいますね。

内部は過熱痕や断線もみられませんでしたが、Rch初段6SN7プレート負荷抵抗の断線が原因でした。その他は20年近く経過しているとは思えない状態。全ハンダ箇所の点検, セレクター, VR系のアルコール洗浄, 機構系締結, 聴感確認, 測定, エージングを行います。
300BのGmが全体的に下がり気味でしたが、現状では規定バイアス電圧を得るまでのマージンが残っていることから温存としました。いかに合理的にメインテナンスするかも技量の一つです。
続いてはSV-722EQ / C22 type(2018年当社出荷)。現在はGold Lion ECC83仕様で、測定してみるとほぼパーフェクトコンディションでしたが、今回はお客さんのご希望で
UK / Mitcham Mullard ECC83仕様へのアップグレードということでお預かりしました。

CR型フォノEQで入力2系統、MCトランス搭載のMM / MC_High / MC_Lowの切替可で回路的にはマッキンC22の移植版です。

手持ちのMullard ECC83 / CV4004はさまざまなタイプがあります。写真は後期仕様。入荷時に全数Gm測定済ですが、実機環境で再選別を行い直流的にも交流的にもベストとなる三本をチョイスしました。結果的に増幅段は後期, カソフォロ段は中期となりました。

内部点検時に6年前の納品時のことを思い出しました。お客さんの拘りで段間カップリングはサンガモ, 送り出し部はObiligato Gold Premiumにアップグレードして制作した個体です。まだ新品同様と言ってよい上物でした。
測定後に一昼夜の連続通電をしてMullardを数十年の眠りから醒ましていきますが、本調子になるまでは1~2ヶ月かかることでしょう。今後が楽しみです。
次はSV-8800SE / KT120仕様(2016年当社出荷)。店舗使用で年中無休、一日10時間連続通電という過酷な環境でKT120の劣化が進行したためドックインしました。

8年間の連続使用でKT120のゲッターもかなり減ってはいますが、ダメージを受けたのは一本だけでしたので片側chの2本だけ更新して様子をみていただくことにしました。アイドリング電流をやや低めに調整したうえで8W24時間連続通電を行い、安定していることを確認して完了としました。

実機の内部。再発防止のため固定バイアスから半固定バイアス回路に設変を行っています。半固定バイアスはSV-19Dで実績のある方式。万一出力管が暴走してもゼロバイアスにならず内部パーツの連鎖故障を回避できるもので、グリッドバイアス+カソードバイアスの良い所取りをしたような感じです。
…こんな感じであっという間に一日が終わってしまいました。明日からはスタッフが来てまた賑やかな日常が戻ってきます。まだまだ案件は山積み。なんとか今週中に巡航速度に戻したいところです。