なんとなくSNSのタイムラインに流れてくる呟きをみていて、気になる書き込みが…。
「好きなアーティストのレコードやCDを聴いても、1枚聴くのがやっと。時には途中で聴くのをやめてしまったり…オーディオ装置に全く電源を入れない日があったり…」
こんな経験は誰にでもあると思います。装置には十分に満足している…でも聴いていても以前のような感動が沸き上がっこない、こんな気分になるのはオーディオマニアにとって大変辛いことですね。
こんな時わたしはFMを聴きます。それは何故でしょうか?一つには予期しない音楽との出会いがあるからです。
私はNHK FMを聴く機会が多いのですが、クラシック, ジャズ, 邦楽, アニソン, ワールドミュージック…さまざまな音楽とパーソナリティのトークを楽しめます。自分の音源はどうしても特定のジャンル, 特定のアーティストに偏りがち。結果として何となく”飽きて”しまうのかもしれませんが、FM放送の楽しさには”次に何が掛かるか分からない楽しさ”があるような気がします。
ところでC-FT1000(あるいはC-FT100オプション付)に内蔵されているMPC(マルチパスキャンセラー)効果について「どのくらい違いがあるのかな?」というお問い合わせを頂いたので、今日家で比較してみました。MPCの何たるかについては下のエントリーを参考にして下さい。
早速比較を始めてみましょう。まずはMPCなしです。これは一般的なFMチューナーの受信状態と考えても良いと思います。

81dBが受信感度, Stはステレオ, 37はDU比といって簡単に言えばマルチパスの大小を示しています。DU値が大きいほどマルチパスが少ないことを示しています。

これがオプションのLCD画面の表示状況です。ちなみに同時に稼働しているメンテ済のTRIO KT-9700の電界強度は65dBf前後ですので、絶対感度の点でも高級アナログチューナーも大きく後塵を拝していることが分かります。
では次にMPCを起動してみましょう。DU値の隣に*印がついているのがMPC ONであることを示しています。注目すべきは電界強度は同等でもDU値が20dB以上改善していることです。

20dB=10倍ですから、言い換えればMPCを起動することでマルチパスが1/10以下に減少したということが言える訳です。

これがMPC ON時のLCD表示内容です。画面中央の緑線の軌跡が大幅に滑らかになっていることが分かります。マルチパスが減少しただけでなく音質も向上していることが目でも確認できるという訳です。いちどこれを味わってしまうと気持ち的にも音質的にも元には戻れません。
昭和50年代はオーディオファンにとってFMは重要な”ひとつのジャンル”でした。それが今や絶滅危惧書に近い存在になってしまったのは何とも寂しい限りです。デジタルダイレクトサンプリングの高音質+MPCという無敵の組合せによってFMがもういちどメインストリームの一つとして返り咲くことを願わずにはいられません。