同業者というとコンペチターあるいは商売敵(かたき)的なイメージがあるかもしれませんが、実際は同じ長屋の住人的な感じのお付き合いが多く、よく”最近どう?”的な会話をしながら情報交換をします。
最近真空管商社さんやアンプメーカーの人とよく話題になるのが”次どんなタマが来ると思います?”的な話。裏返せばグローバルレベルでも300Bをはじめとした人気球が固定化していて、新たな潮流が生まれていないというのも事実な訳です。
いわゆる50年代~80年代のNOS(New Old Stock)が枯渇傾向にあるなかで、ロシア, 中国, チェコ等が製造する真空館は需要が見込める人気球に集中しつつあります。簡単に言えば選択肢が狭まりつつあるなかで金太郎飴のようなアンプばかりになるのは避けなければ…という思い(懸念)が私たちの中にもあることを否定しません。
この流れは決して今に始まった訳ではありません。私どもではその背景を踏まえ、50年前から変わっていない、50年後も陳腐化しないアンプはなんだろう…と考えて新製品の乱発をやめ1616シリーズを立ち上げました。三極管シングル/PP, 多極管シングル/PP, 送信管, プリ, フォノEQの究極のミニマル化を目指し2015年のS1616Dの立ち上げから始まり、2019年のEQ1616Dで完結して今日に至っています。皆さんからは”新製品ないの?”とよく訊かれますが、基本的には今の状態をずっと前から目指してきたので現状に満足しています。
一方で会社を離れて一個人のアンプビルダーの立場では改めて作ってみたいアンプは幾つもあります。商用の電話が脱線して他メーカーの人と”なにか面白いタマない?”という話題になりがちですが、これが個人の嗜好も含めて非常に興味深い訳です。
量産できるだけの真空管が調達できるのか等の縛りなく、よく話題に出る真空管は…



All photo by courtesy of ebay その他いろいろと俎上にあがる真空管があるわけですが、いわゆるメジャー球でなくても素性がよく作ってみたくなる真空管は実はたくさんある訳です。
会社としては一定の量が見込めないと製品としては厳しい訳ですが、何らかの形で実現できたらいいね!といつも井戸端会議に華咲いています。