今日は認定中古整備目標4セットのところ2セットしか確認作業が完了しませんでした。車のレストアと同じで結局どこまでやるかによって変わりますが、最終的には”これでよし!”というレベルまで仕上げられるかどうかで工数や所要時間が決まる感じです。

今日とくに時間がかかったのはこのLM86B。当社が誇るゴッドハンド職人氏がいちど手を入れているので安心ですが、私のミッションはお客さん目線で総点検することと、数値的(定量的)指標の先にある音色的(定性的)チューニングです。この機種のようにMONO × 2台セットの場合は真空管の個体差にも十分な配慮が必要なので、余計に気を遣います。

この個体は販売にあたり262Bシールドケースの接地を更に強化したほか、ハムレベル低減のため従来のバランサー片側固定→アッパー/ロワー両側可変に変更したり、インターステージトランスの向きを90度回転させてリーケージフラックス(漏洩磁束)の低減を図ったりと様々な対策を施しています。
このブログの読者さんでLM86Bをお持ちで上記同様のバージョンアップをご希望の方はご連絡下さい。オーバーホールを含めた総合対策が可能です。
そして今日のもう一台の成果はこれ。

SV-9T前期 / 松下6GW8仕様です。完全リビルド(解体再組立)を行って電気的には新品同様に仕上がりました。
こういう手の平サイズのアンプは緻密な作業が要求されるだけでなく、実装密度が高いことから見た目はきれいでもノイズ特性が悪かったり誘導を拾って問題があるケースも少なくありません。ワイヤリング(配線の引き回し)方法やアース処理でかなり特性が変化することから、利益云々とは無関係にリビルドを実施しました。
今日の2セットは売価にして約30倍の開きがありますが、結局やることは同じ。傍目には自己満足に見えるかもしれませんが、これなら自信をもって提供できる…という何かがないと中古品の再販ビジネスには手を出すべきではないと常々考えています。この仕事にノークレーム, ノーリターンは通用しません。