エンディングノート

お互い家を行き来したり、オーディオ以外の趣味について語り合ったり、そんな関係性のお客さんが沢山います。そんな同好の士が居なくなったことを知ると本当に寂しいものです。

昨日、不意に知らない番号から携帯に電話が入りました。誰かなと思って出ると聞いたことのない女性の声です。かれこれ15年、親しくさせて頂いたお客さんの奥さまからでした。しばらくお会いしていなかったので、”ご主人お元気ですか？”と伺うと、去年亡くなられたと伺いました。

”一周忌を過ぎたので、主人の身の回りのものを片付けようと思ったらノートが出てきて、「オーディオの整理は大橋へ」というメモと私の電話番号が書かれていたとのこと。どうして元気なうちに電話をくれなかったかと思いながら、とにかく一度伺いますと申し上げて、久しぶりにご自宅にお邪魔し,今日線香をあげさせて頂きました。

実は3年ほど前、この方から当社からお納めしたアンプやAutographを買い取らせて頂きました。40年間たいせつに使ってきたAutographを預かるにあたって”次にこのスピーカーを使ってくれる人に差し上げたい”とクラシックLP約1000枚ほども頂いてきました。実はこの時すでに体調が芳しくなかったと奥さまから伺いました。

いまも大変よい音で鳴っていますよ、とお伝えするとたいへん喜ばれました。

これぞまさに魂のリレー。お互い知らない同士でもその想いはしっかり引き継がれているのです。今日は追加でご主人が自作されたスピーカーシステムを何セットかお預かりしてきました。いずれユニット単位でご提供できればいいなと思っているところです。
しっかり次の方に託しますので、どうぞご安心ください…。