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デジタルFMチューナー”C-FT100"を試聴する

2年ほど前、放送業界, オーディオ業界の話題を席捲したデジタルFMチューナー”C-FT1000”をご記憶でしょうか?30万円という高価な製品でありながら我々FM世代のオーディオファンに支持されてきましたが、今週メーカーに追加発注をしたところ現在庫払底以降は受注生産に移行する予定である旨の連絡がありました。

理由は後継となる普及モデルC-FT100への移行が要因のようですが、ざっとスペックを確認したところMPC(マルチパスキャンセラー)が除かれる以外の基本機能は大きく変わらず価格は半額ということで大変興味を持ちました。即デモ機のレンタルを依頼したところ今日到着。所用で戻りが深夜になりましたが、明日から出張で不在ということもあり、急遽試聴を行いましたので速報的にレポートします。
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アナログチューナーの名機 TRIO KT-9700と比較試聴しつつ、C-FT1000との違いを体感していきます。

まずはC-FT1000とC-FT100の主な差異をまとめてみました。

C-FT1000: 高性能を求めるオーディオファン向け
C-FT100: より手軽に高音質を楽しみたいユーザー向け

ということがいえます。FPGAを活用した高性能デジタルFMチューナーというアウトラインは共通です。価格を大幅に抑えるために様々な工夫が為されています。受信感度に関していえばKT-9700の比ではありません。

MPC(マルチパスキャンセラー):
C-FT1000: 高性能なMPCを搭載しており、マルチパスの影響を強力に除去
C-FT100: MPCを省略し、よりシンプルでコストダウンを実現

FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ):
C-FT1000: 高性能なFPGAを使用し、複雑なデジタル信号処理
C-FT100: よりコンパクトなFPGAを使用し、デジタル処理プロセスを簡略化

DAコンバーター:
C-FT1000: ESS製「ES9038PRO」DACチップを使用し、高品位なアナログ出力を提供
C-FT100: TI(旧バーブラウン)製DACを使用し、コストパフォーマンスを重視

が主なところです。つまり機能面ではMPCを省略しただけで半額というプライシングは驚くべきところです。受信状況をモニターできるLCDモニターもオプションで取付可能です。
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C-FT100内部(画像クリックで拡大)。ちなみにC-FT1000の内部写真はこちらです。各モジュールを見るとC-FT100用に新開発された基板を採用していることが分かります。C-FT1000の超絶高音質はC-FT100でも感じられるでしょうか…。

自宅のシステムにC-FT100をインストールして試聴を開始します。自宅の7エレ八木アンテナ(聴取位置から送信位置までの距離は直線30km強)とCATVに乗っているFM波の二種類で検証した結果、C-FT1000の最大の魅力であり特徴であった超高感度+滑らかなアナログライクな音質と比較すると、僅かに平板な印象で高域に粉っぽさを感じる音質であったものの、背面のデジタル出力からSV-192PROIIに信号を供給し再生したところ、大幅に音質が向上することを確認しました。
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C-FT100デジタル出力。AES/EBU, 同軸, 光出力を装備しています。これらデジタル出力を活用し高品位なDAコンバーターと併用することでコストダウンのデメリットは大幅に軽減できることを確認しました(音質的にはAES/EBU > 同軸 > 光)。これがC-FT100の使いこなし上の最大のポイントといえます。

MPCの有無については試聴場所が元々マルチパスが多くない近郊エリアであることもあり、絶対的な差異は感じられませんでしたが、専用モニターで波形を監視した限りではC-FT1000で感じたMPC使用のメリットはかなりあるという認識です(メーカー情報では後付けでMPCをアドオンするサービスも49,500円で提供されるとのこと)。
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今日は2時間ほどしか試聴時間が取れませんでしたが、従来のアナログチューナーと隔絶したHD音質のFPGAチューナーのメリットを温存しつつ、コストダウンのデメリットを最小限に抑えたメーカーの努力を大いに感じた結果となりました。

C-FT100を最大限に活用するためのポイントは

①外付けのDACを使用
②マルチパスの少ないCATV信号を入力する(アンテナ入力の場合はMPCを追加するかC-FT1000を選択)

ということになるでしょうか。

C-FT100の登場によりC-FT1000のメリットが減じられることはありませんが、価格的に導入を躊躇っていた方には朗報といえるでしょう。C-FT1000については当社では現在庫限りで取扱い終了となる見込みですので、購入を検討されていた方は早めのご検討が望まれます。

デモ機をしばらくお借りすることになっていますので、今後丹念に試聴し追加情報あれば改めてお知らせしたいと思います。C-FT100の取扱いについても鋭意検討して参ります。


by audiokaleidoscope | 2024-10-10 23:59 | オーディオ

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