今日は中古300Bのバラ在庫、百本弱の再測定を行いました。

どういう事かというと中古品の買取を始めて5年、アンプに真空管がついた状態で入荷することが大半なのですが、通電確認時に劣化していたり、買取成立後に不安定な挙動を示したりして結局別の新品ペアを使って再販に至るケースが結構あるのです。
劣化が認められた真空管は廃棄せざるを得ないのですが、元々ペア球の2本とも使えないということは殆どありません。言い換えれば1本は電気的に生きていることが大半なのです。
こうして残った一本を不謹慎ながら業界的には「後家さん」と呼んでいます。大切な伴侶を失って独りぼっちの真空管が少しづつ増えていくのが私どもの日常であるともいえます。
今日やったのは私が管理している後家さん一本づつを電気的測定しIp(プレート電流)とGm(入力電圧の変化に対する出力電流の変化=増幅率)を記録。仮に同ブランドの後家さん同士のマッチングが取れれば、販売用でなく修理等でアンプをお預かりした際に中古でも構わないと仰って頂けるお客さんに代替ペアとして格安に提供できる場合もあります。

こうして見ると様々な300Bがあるものですね。面白いのは本来電気的に同じ筈の300Bが原産地, ブランドによって特性に一定の傾向があることもだんだん分かってきますし、多くの小売店, メーカーが知ることのない各300Bの耐久性=
バスタブの底の長さを知ることが出来るのは大きな収穫です。

こちらは出荷前点検で後家さんになっていたPrime 300B ver.5(新品)がめでたく再びペアとして復活できた例。提供側にとっても皆さんにとってもWin-Winのケースです。

こんな感じで作業を重ねた結果、ふたたび伴侶を得てペアとなったもの、ペア取りには至らずとも修理用の備蓄球として再び灯を入れられるのを待つもの、残念ながら廃棄の已む無きものを選別することが出来ました。
これらが活かされることは提供側である私どもにとっても大変喜ばしいこと。他にもたくさんの管種の後家さんが倉庫で眠っているので、良き伴侶を見つけるために引き続き再測定を進めていこうと思っているところです。