耳もスピーカーも二つ
2024年 10月 04日
皆さんのなかにも音楽専用のみならず映像と共存したシステム構築をされている方も多いと思います。いわゆる”リビングオーディオ”、つまり専用オーディオルームでなく家族と一緒にリビングルームでオーディオ鑑賞する場合、大型TVの両サイドにトールボーイスピーカーが置かれ、音楽もTVも共通のシステムで再生される方が多いと思います。
一時期、家庭用マルチチャンネルAVアンプが大流行しました。5.1chとか7.2ch再生にチャレンジされた方もおられたと思いますが、現在はその需要が減少しているのには幾つかの要因があるようです。
一つには簡易的に疑似サラウンドが楽しめるサウンドバーの普及があったり、理想環境と現実の住環境との乖離から機能を活かせなかったり、何組も走るスピーカーケーブルの処理が面倒だったり、新しい規格がどんどん出てきて数年で陳腐化したり…と様々な理由があったようです。
真空管アンプユーザーの皆さんは多くは音楽主体にシステム構築されていると思いますが、近年映像との共存を前提としてシステム構築される方がふたたび増えているように感じます。4Kチューナー+大容量HDDレコーダーが低価格化していることも関係しているかもしれませんが、レコーダーのHDMI出力から大型モニターに映像を送り、TV側のヴォリュームはゼロ設定。レコーダーからの音声出力を真空管アンプに送る…こんな使い方です。
今日もそんな方がショールームにいらっしゃいましたが、真空管アンプだとセンタースピーカーを置かなくても人の声が明瞭で定位も良いので音が拡散するマルチチャンネルよりもソースに没入できると仰っていました。

テクノロジーはどんどん進化していきますが、人間の本質は変わりません。90年代半ば、都内の或る方の自宅でBARCO EMTの三管プロジェクターで観た大画面映像とCello Strad Grand Masterの音の衝撃は今でも忘れません。そのあと伺った池田圭さんのスタジオのWestern 15Aの音にも度肝を抜かれました。
