今日試聴にいらっしゃったお客さん。数年前に”たぶんこれが最後”と仰ってアンプ, スピーカー, 入力系も含めグレードアップを済ませ、楽しんでおられる訳ですが…
「何の不満もないのにね、自分のなかでムシが疼くというか、別の音を聴きたくなる訳ですよ。サブシステムというより何十年か前に夢膨らませていた頃に戻って何か作りたくなるみたいな感じ…本能的にね」と仰っていました。
実はこういう方は他にもたくさんいらっしゃいます。日々ストレスもなく音楽を楽しめる筈が、何となく全然違うことをやってみたくなってウズウズしているみたいな感じのお話はよく伺うのです。
たとえば
半年ほど前のブログの写真の再掲ですが、

この方はメインシステムを当社の旗艦アンプを中心に構成され、JBL4343がキレキレの音で鳴っていて毎回素晴らしいと思う訳ですが、今日のお客さんと同じで”常になにか弄っていたい”系の方で、いろいろ策を練った結果、初のスピーカー自作にチャレンジされることとなりました。

を参考に
共立電子産業さんのオリジナルスピーカーキットの未組立ディスコン品とFOSTEXのバックロード用ユニットを入手され、初自作にチャレンジされて見事完成されたのが上の写真です。非常に満足されているようで、お手伝いして良かったと思っています。
今日のお客さんは元ラジオ少年系の方でアンプを一台作りたいなあ、と仰っていましたが、スマートフォンで見せて下さったのがこの写真。

私がプライベートで何年か前にSNSに上げた写真です。USAのキットメーカーが販売しているいわゆる”ブレッドボード型”(シャーシがなく一枚板の上につくる形式)のECL85ppのキットでした。
「こういうのが作りたい訳ですよ、財布に優しく失敗もなさそう。50年前の自分に戻って無心に作ってみたい」…個人的にもこういう気持ちはとても良く分かります。すぐ先方に連絡をとったところ在庫があるとのこと。円安で当時より5割ほど値段はアップしていましたがそれでも十分安いといって購入の手続きを取られました。
いま日本にはこの形式のキットはありませんが、いまからかなり前に或る雑誌社からオファがあって別冊用のキットを検討できないかと相談を受けたことがありました。上の写真のイメージでいえばムックに基板が付録的についていて、本文中に組立マニュアルとその他の部品の調達先が載っている…的な感じで頒布できないか…というお話でした。
諸般の理由からその企画はお流れになってしまいましたが、今でも勿体なかったなあと思います。漠然と何か作ってみたい…と思っていらっしゃる皆さんに、どういう形であれ挑戦するマインドと成功体験を提供するのも私どもの重要なミッションのひとつです。
気が付けば真空管アンプのキットメーカーは数えるほどに減ってしまいましたが、自社製品と取扱いをさせて頂いている仲間の製品で、これらかも引き続き”作る(創る)歓び”を提供していきたいと改めて強く思った次第です。