一昨日のエントリーで6L6系真空管について触れたところ予想外の反響がありました。いまや一般オーディオ市場は一般人の感覚を遥かに超える超バブルな値付けのものが大半ですが、こういう身近な真空管を使ったアンプが根強い支持を頂いていることが分かって改めて意を強くしているところです。
そういえば今月販売開始となった
エレキットTU-8400。いちはやく入手して下さった皆さんから完成のお知らせを頂いて嬉しく拝見しています。
埼玉のWさんからは「EL34の明晰な音も捨てがたいですね」というコメントも。その他、自作アンプのレポートを送っていただいたりして、単なる売り買いの関係を超えて皆さんと交歓できるのは無上の歓びです。
考えてみれば私どもの始まりは個人商店的(ガレージメーカー的)キット販売店そのものでした。いまと違って全ての作業を独りでやっていた2003年頃までは構想, 調達, 試作, マニュアル作成, パーツ取揃え, 梱包, 発送, 組立等すべて自工程完結で梱包は毎日夜10時スタートみたいな日々でした。若かったから出来たと思いますが、我ながらよくやったものだと思います。
当時のオリジナルアンプは3万とか5万とか…いかに安く販売するかを最優先に考えていました。
たとえばこれ。
6EM7(電圧部3極管,電力部3極管の複合管)のプッシュプルで出力8W+8Wで確か税込3万ちょっと。シャーシは知り合いのガレージメーカーに余ったいたものを格安で分けていただいたり、チョークコイルは確か蛍光灯の安定器を流用していたような記憶があります。マニュアルはEXCELの線画機能を駆使して苦労して作ったり。
当時はショールームもなくて夜間や土日の社員が帰ったあとに事務所の一角に店を広げて作業していましたので経費的はほぼゼロだったから出来たような気がします。当時は社内ベンチャー的な位置づけだったので全てが無手勝流でした。
これはSV-8(EL84プッシュプル)。これも恐らく2000年代初め頃の製品で当時の価格は5万円台だったと思います。SV-3, SV-6と共通のシャーシで当時”世界唯一の真空管ミニコンポ”とか言っていたような記憶も。5Y3(整流管)を敢えて二本使ってシンメトリーなデザインに拘った思い出があります。
…「思えば遠くへ来たもんだ」という歌がありましたが、いまこんな感じで仕事できていてスタッフや優秀な外注さんに助けてもらって仕事できているのも、創業直後のガムシャラ時代があったからかもしれません。その頃から845や300Bももちろんありましたが、今日ご紹介したような身近な真空管を使ったキットが当時沢山ありました。とても懐かしいです。