遺るもの, 潰えるもの
2024年 09月 23日
なぜこんなことを書くかといえば、今日帰宅してふと思い出したLaser Disc(レーザーディスク, 以下LD)というメディア、どれだけの方が覚えていてどれだけの方が今でも使っていらっしゃるでしょうか。
捨てられない性質(たち)の私は今でもハード / ソフトいずれも残しており、特にライブ盤を蒐集した時期がありましたので今でも沢山のソフトがラックで眠っています。とはいえ実際LDプレーヤーを回してみたのは10年以上ぶりでしょうか。
いつ買ったか全く覚えていませんがたぶん94年か5年頃だったような気がします。当時は今のような大画面で観ていた訳ではなかったので特に気になりませんでしたが、改めて今日当時のLDプレーヤー(パイオニアのCDコンパチ機)で観てみると、正直ピントは来ていない、色の諧調表現は曖昧、黒は濃いグレーにしか見えない…といった感じでBlu-Rayに慣れてしまった今となっては残念ながら鑑賞に堪えるものではありませんでした。
他方LDよりも半世紀近く前のLPが旧さを感じさせるどころか、最新のデジタル音源よりも聴いて心地よいと感じる人が少なくないのは何故なんだろう…と改めて考えてみると大変不思議な気がします。LPが当時”針が溝を走る”形式が或る意味必然であったの対し、LDは”新しさ”を求めた結果出てきた過渡的な規格であったことが一つの要因だったのかもしれません。
これは業界の方から以前伺ったことで裏付けはありませんが、実はLD登場まもない時期にDVDの規格化に向けた検討が既に始まっていたものの、市場に対しては常に”最新”、”最高性能”を標榜し続ける運命にある各メーカーはいずれLDが旧態化することが分かっていながら売り続けなければならない宿命にあったようです。
デジタルが世の中を大きく変えたのは音楽の世界だけではありませんが、こうして改めて考えてみると実は「新しいものは常に旧いものと隣り合わせの状態にある」のではないかという気がします。オーディオ雑誌を読まなくなって久しいですが、毎年いま頃から年末にかけて新製品ラッシュの時期。去年までフラッグシップだった新製品が、あっという間に旧製品になって気が付くとディスコンになっているのが普通の世の中です。