整流管の選別
2024年 09月 21日
今回私が依頼したのは石川県の方。航空機やヘリコプターの整備が本業だった方ですが、お仕事柄メカものには滅法強くSTUDERやRevoxなど海外ものから国内製までオープンの修理に実績のある達人です。
折に触れて進捗状況をお伺いして、どこがおかしいとか、何が大変だと伺っていたのですが、今日改めて回してみると実に正確に美しい音を聴かせてくれて、改めてお願いしてよかった!と思いました。
その後、作業場に移動して月末までに仕上げたい組立代行品, 修理完了品の出荷前点検に取り掛かりました。
フォノEQやプリアンプでは必要なB電圧が高くないので選別は不要です。また傍熱整流管も大きなバラツキはありません。一部の直熱整流管とりわけPSVANE WE274Bにように意図的に内部抵抗をコントロールしてWestern Electric 274Bと同程度の出力電圧が取り出せることを標榜している管種では出力電圧に10%以上のバラツキが出ます。そのため、ロット入荷時には上の写真のように全数通電してレギュレーションの違いを把握し、プリ, フォノEQ用はこれ、パワーアンプ用はこれ…と区別するようにしています。
本来は全て同じ特性であるのが提供側としても楽なのですが、人間に身長差や表情の違いがあるように実はみんな少しづつ違っているのです。そういう意味では同じSV‐〇〇を持っていても厳密にはみんな同じ音ではないということになるのかもしれませんね。