昨年リリースされていながら買い逃していたヴィキングル・オラフソン(アイスランド)のバッハ / ゴルトベルクが届きました。
オラフソンは地元FM局のクラシック番組パーソナリティ当時に好んで掛けていたアーティスト。モダンで虚飾を排した解釈, ガラスの彫刻のように繊細で立体的なタッチ, 無音時の緊張まで音楽の一部にするような集中力…ほかの誰とも似ていない独自の世界を確立した素晴らしいピアニストです。
とうに売切れと思っていた彼の
ゴルトベルク変奏曲のアナログをたまたま見つけ即購入。至福のひと時を過ごしているところです。
冒頭のアリアは意外なほどニュートラル。最初からもっとキメて来るのではないかと思いながら虚を衝かれていると始まった第一変奏を聴いて”これだ!”と膝を打った次第。こんなゴルトベルクはついぞ聴いたことのない、まるで輪舞(ロンド)のような軽やかで弾むような演奏。まるでバレエの組曲のように緩急に富んだ二枚組LPがあっという間に終わってしまった印象です。
バッハがミニマルな現代曲のように研ぎ澄まされていく様子は快感そのもので、本当に買って良かったと思える一枚でした。クラシックファン以外の方にも心よりお奨めします。