リンダ・キャリエールの”旬(しゅん)”
2024年 09月 04日
山下達郎さん, 吉田美奈子さん, 矢野顕子さん等、錚々たる作曲陣によって書かれた曲に細野さん昵懇のミュージシャンらが参画。細野さんは勿論ですが、矢野さん、坂本龍一さんがキーボードで参加している曲もあり、当時日本の音楽シーンの最前線にいた人たちが世界に斬り込もうとした気概のようなものを感じるのは私だけではない筈です。そしてここからは想像ですがジャポニズム的な要素のまるでない洗練された日本発のソウル・ミュージックは世界というマーケットに対してまだ”早すぎた”のではないか…そんな気がします。
いま聴いても旧さは全くなく、サウンド的にもまるで昨日録られたばかりのような鮮度感。A面一曲目イントロでドラムスティックの動きが目の前で見えるようなリアリズムは、このアルバムが時系列的にカテゴライズがされることを拒否しているかようです。
半世紀近く前に録られた音源がいま”旬”を迎えていることは或る意味痛快です。何百万回再生などという尺度とは関係のない本質的で普遍的な音楽の力を感じられる一枚です。ぜひ良いオーディオで聴いてみて下さい。