今日は年一回の健康診断。バリウムとか結構たいへんですが、仮に悪いところがあれば早めに処置できるチャンスと捉えるべきですね。
オーディオも同じで知らず知らずに劣化が進行して、気がついた時には手遅れだったということもあります。軽微な段階で適切に処置することが結果的に最もダメージを少なくできます。
この写真は背面側のアンプ部の扉を開いたところですが、ざっと確認したところアンプ部は生きていてドライバーに問題がありそうな感じです。
これが正面(ホーン側)。右側のツマミが電源スイッチ。左側はゲイン調整。ヴォリュームではなく入力トランス二次側のタップを切り替えるユニークな方式です。写真ではサイズ感が分かり難いですが、幅400, 高さ約350, 奥行500弱(mm)と大きめ。このなかにアンプとドライバー+ホーンが格納されていることを考えれば必然のサイズといえます。
電源は外部から供給します。B電源(プレート)が120V, A電源(フィラメント)が6V, C電源(バイアス)は-6Vです。
真空管は216Aが三本。入力トランス218Aのあとに216A(一本)が入り、インターステージトランス(218G)のあとに216Aのプッシュプルを経て出力トランス111Aから信号が出力されます。恐らく出力負荷インピーダンスは4kΩくらいではないかと想像します。
これが(たぶん)問題を抱えているマグネチックドライバーの磁気部です。馬蹄形のマグネットがアンプとパネルに共締めされ、アンプを貫通してフロント部にホーン開口が向かう構造であることが分かります。
注目すべきはこの写真の上のマッチ箱が二つ並んでいるようなもの。これ実は216A用バイアス電圧を供給する乾電池(Eveready 751)です。7AアンプはもともとB電源(120V)とC電源(-6V)はバッテリーで常時通電。A電源(6V)のみ別電源(Western Electric 2A)から供給する形式でした。B電源用電池は概ね120時間(2時間×60日)で交換推奨と資料に記載されています。簡単に言えばプレート電圧が低下して音量が下がったら交換という大らかな発想でしょう。
不調の原因を探っていくなかで一番驚いたのが下の写真です。
もともと100年前のアンプですからバッテリーが載ったままになっていること自体が珍しいのですが、電池は当然死んでいると思いながら念のためテスターを当ててみると何と定格4.5Vに対して3V以上出ています。
この電池が何回交換されてきたかは知る由もありませんが、仮に30年間換え続けられたとしても70年前のもの?…ちょっと信じられないと思いながらChat GPTにEveready 751がいつまで製造されていたの?と訊くと90年代まで作られていたようで納得。つま少なくとも30年くらい前まで、このアンプは現役だったという訳です。
14Aはオーディオの歴史のなかのロゼッタストーンのようなもの。何とか修復できるよう頑張ってみようと思っています。