今日も組立代行品だったり修理完了品の出荷前点検が続きます。自分が最後の砦と思って真剣に製品と向かい合っていると相当に消耗するものですが、書類に完了のハンコを押すと心地よい達成感が現れて疲れも吹き飛びます。
ELROG ER300B on SV-S1616D
とりわけ修理で預かった品物は、仮に音が出るようになったとしても、他の問題が潜在している可能性もあるのでかなり綿密にチェックする訳ですが、修理に出したお客さんの気持ち…愛機が不調に陥った時の落胆や不安が自分にも痛いほど分かるので、自分事と思って対峙します。
そんなタフな一日が終わり、今日も帰宅してオーディオの灯を入れると…QUAD FM3(60年代のFMチューナー)のチューニングインジケーター(二つのランプが同輝度で点灯するポイントが最適点)の片側が切れているではありませんか!昨日までは何ともなかったのに、超ショックです。
受信自体に問題はない訳ですし、いままでの勘で片側切れていても最適ポイントは分かるから良いようなものですが、ランプが切れているという事実で心は千々に乱れて、もう音楽どころではありません。半ばカーッと頭に血が上って、何が何でも直さないと気が済まない心境です。これは多分皆さんも同じではないでしょうか。
FM3のランプは時々切れるという情報は知っていたので、数年前にebayで純正ランプの予備をUKから仕入れていました。備えあれば憂いなし…と思いながらウッドケースから本体を取り出します。
惚れ惚れするようなミニマルでシンプルの極みのQUADのモノづくり。クオーツシンセサイザー方式以前のバリコンチューナーです。
ランプを換えようと思って患部を注視すると、点灯に必要な電圧を供給するリードが離断していることを発見。普通ハンダが外れるような部位ではないので、恐らくリード側の金属疲労による折損ではないかと推定します。
念のためブラケットを外してランプを確認したところ、ランプ自体は大丈夫なようです。こういう細かい作業のための20W極細のハンダゴテと0.2㎜φの超極細ハンダを使用して離断部分を修復していきます。旧いハンダは全て吸い取ってから追いハンダを行い万全を期します。
これが復旧状況。たったこれだけの作業ですが、大切な愛機ですし、それ以上にこの手のヴィンテージ物は自分が所有しているというよりも、いつか次のユーザーさんのお手元に渡るその日まで自分が預からせて頂いているような感覚ですので、独り善がりの改造や仕様変更は決わず。オリジナル重視の姿勢を貫くのが自分流です。
純正ケースにいれてスイッチON ! 無事再点灯です。このスッキリ感は何ものにも代えがたい感覚です。
修理品が届いて”無事鳴ってます。ありがとうございます”と日々メールを送って下さる皆さんの気持ちをとても身近に感じつつ、FM深夜放送を聴きながら至福の時が流れていきます。