オーディオは使っていた御本人にとってはかけがえのない宝物でも、ご家族には単なる場所を占有するだけの代物ということもあるかもしれません。
今日ご家族の求めで、亡くなられたお客さんが愛用されていた当社製品の引き取りに伺った時のことです。”何かあればここへ”と私の連絡先メモを託されていたということでした。伺うとオーディオだけでなく他の家財も売却予定とのことで、さまざまな品物がきれいに並べられていました。
私どものアンプをざっと拝見し、”詳細はお預かりしてから査定書を提出させていただいて、合意をいただけたものだけ託していただければ大丈夫ですよ”と申し上げ、目安となる金額をお伝えすると、実は既に別の業者さんが査定済みでであったことが分かりました。
詳細は避けますが桁が一つ違っていて、結果的に私どもでお預かり出来てよかったですが、仮に今回のように私どもに連絡をいただくことがなければ製品がどんなルートに流れていったのか…知らないところで確実に一定割合がそういう状況にあることを考えると少々複雑な気持ちになりました。
別の話ですが、このオープンリールはお客さんからメインテナンス依頼でお預かりしたものですが、私どもで修理は行いません。餅屋は餅屋ですから、この手のメカ物はその道のプロに託すのが一番です。私どもで責任もってお預かりし、最善の対処をお約束しました。
形あるものは何時か必ず壊れる…のは仕方ないことですが、なるべくその寿命を長らえるために最もふさわしい人が、最も適切な方法で対処すべきです。このオープンリールがあるべき性能を回復するためには一定の期間と一定の金額がかかることは間違いありませんが、依頼主さんの”まだまだ使いたい”という想いに応えるため、しっかり窓口を務めなければなりません。
壊れていない製品が知らない人に○千円で買取られていったり、本来は直るものがジャンクで○百円で売られていくのは忍びないことです。私どもの場合は”その場で即金”でないのは申し訳ないことですが、製品がもっとも活かされる方法で然るべき人に託されることを祈らざるを得ません。