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アンプと手相

今日は物流センターの作業場にこもって買取依頼の入荷品のチェック。玉石混交というと叱らせそうですが、本当に様々な状態の製品を拝見させていただいています。当社から旅立って10年, 20年, あるいはそれ以上経過している訳ですから劣化は当然。

もちろん電気的状況を中心に診させていただく訳ですが、製品を見ればお客さんと製品との間合い、敢えていえば愛情のようなものもちゃんと伝わってきますので、旧くても程度の良いものは正当に査定させていただいています。

査定といっても電気的にダメージを受けているものは簡易的にメインテナンスしないと通電できない場合も結構ありますし、安易に通電して状況が悪化してはいけませんので、かなり気を使います。

たとえばこれ。
アンプと手相_b0350085_04482174.jpg
何度か書いたG-Kによるパスコンのドライアップ状況です。G-Kは多くの場合、励振電圧の低い多極管で起きるケースが多いのですが、今回は300Bシングルで発生したレアケースです。

ちなみにパスコンがすっ飛ぶと電流帰還がかかってゲインが3dB程度下がるのが普通です。したがってブーン…ガサガサ…バチ等の異音とともに片chの音量が下がるような場合はG-Kの疑いがあるということですね。300Bのような励振電圧が高い(=バイアスの深い)出力管ではあまり起こらないのですが、今回は片側の300Bの不良によって発生していることが分かりましたので、300Bペア交換決定です。少々もったいないですが、次にお求めになるお客さんのことを考えれば当然の措置といえます。

これは久々入荷のKT120プッシュプル。機台はSV-P1616Dです。
アンプと手相_b0350085_04483237.jpg
内部を拝見…これは上物。
アンプと手相_b0350085_04482850.jpg
アンプの内部配線は手相と同じ。似ているようで一台一台全部違います。底板を外してパッと見れば組立代行品の場合どの職人さんが作ったか直ぐ分かります。

この個体はお客さんが購入されて組立途中でバトンタッチさせていただいて当社で完成させていただいたもの。いわば合作です。真空管もパーツも良い状態でしたので、買取が成立すれば全体整備させていただいて認定中古品として次のお客さんにお届けできると思います。

そういえば毎月ある”後変”(あとへん)への対応として、今月から現状に加えてカップリングコンデンサーのグレードアップが可能な機種は注文時点で指定いただけるように出来ないかと考えています。

例えばこのSV-P1616DはArizona 0.22uFが4個必要になりますので、交換工賃含んで+3.5万円くらいで対応できます。世の市販アンプでArizona搭載品はどれも数十万~100万円クラス以上の製品ばかりですので、せっかく買うならこの機会に一遍にやってしまおうというお客さんが多い最右翼です。

今週末までに今月の出品品目のメドをつけないといけないので捻りハチマキ状態ではありますが、今月もしっかり準備していきますのでご期待いただければと思います。

by audiokaleidoscope | 2024-08-11 23:59 | オーディオ

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