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自分で考え、自分で作る

今日から恒例ワンオペ留守番生活。20何年ずっとやってきたことなので慣れっこです。初日はリモートで作業しながらメールチェックなどして過ごしました。日中はどうしてもお客さん中心の時間の過ごし方になるので、自分ごとに集中できるのは深い時間になってから。

スケジュールをみると休み中も買取品のチェックや持込試聴など結構予定が入っていて家にいられる時間が限られていることが分かったので、善は急げとばかりアンプの組み立てに取り掛かりました。
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今回のお題は以前「惜別」というエントリ ーで紹介したNPO法人”ラジオ少年”さんのキット。50BM8(50Vヒーターの複合管)シングルです。皆さんよくご存じの6BM8のヒーター電圧違いと考えていただくといいでしょう。写真には写っていませんが電源トランスの一次側100V巻線を使って50V球をシリーズ接続して100Vからヒーター電圧を供給する方式です。
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回路図です。これ以上シンプルにしようがないほどミニマルな構成ですね。自己バイアスで2W位の出力になりそうです。プレート電圧の稼働率を高めるための固定バイアス用の回路図とオプションパーツも同梱されています。
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その他、付属しているのは参考写真。いわゆる組立説明書や実体配線図的なものは一切ありません。ラジオ少年さんのポリシーとして説明書に頼るのではなく、自分で考えて自分で作ることを重視されていましたので、説明書なし、サポートなしの姿勢を貫かれました。この時代なかなか出来ることではありません。

上の写真を見ても実体図の代わりにはなりませんので、回路図と実物をためつすがめつしながら配線イメージを膨らませていきます。
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まずは機構部品の取り付けから。入力RCAが前面に配置されています。入力ボリューム(50k)が欠品でしたので手持ちの100k(A)を代用しツマミも代替品の軸の長さに合うものを暫定で使います。
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いよいよワイヤリングに入っていく訳ですが、私はアース→AC周り→ヒーター→+B→入力信号ライン→トランス周り→CRの順で配線していくことが多いです。慣れない方は回路図を見ながら終わった部分をマーカーでなぞっていくと誤配線や配線忘れを回避できるでしょう。

上の写真はアース母線を這わせてから入力RCA→ヴォリューム→グリッドまで配線してからヒーターまで終わったところです。今日はここまで。残りは休み中に時間を見つけてやっていきます。

現代は全てお手盛りで何から何まで段取りできているのが当たり前。仕事でも人から人へ口承で伝えたり、隣でみていて技術は盗めというのは前時代的。フローチャートや手順書, 要領書が完備されていて誰がやっても同じものが同じ時間で同じクオリティで出来ることが前提です。

このアンプはその真逆。目的地へのルートは自分で決め、”経験”によって自らを高めるというプロセスが非常に魅力的だと感じます。お客さんから”オール手配線なんてムリムリ”と言わることがありますが、そう言った時点で何かが終わってしまいます。挑戦なくして成功なし、だれでも最初は初心者なのですから。

じゃあ出来るのか?と問われれば”できます!”。いまのアンプキットにはかなり詳細は組立説明書が付属しています。斯くいう私も最初は電気のことなんて全く分からずゲルマラジオの組み立てから始めて何十回, 何百回と失敗してきたからこそ今がある訳です。モノづくり離れなんてよく言われますが、根源的, 本能的にに人間は創造という行為と無縁ではなく誰にでも可能性はある筈です。

どんな簡単なキットでも出来上がった時の感動は今まで見たことのない景色を見せてくれます。いままで単なる道具だった全てのものに人の英知や工夫や願いが込められていることに気づくことでしょう。まずは手軽なところから始めてみてください。一緒に楽しみましょう。


by audiokaleidoscope | 2024-08-10 23:59 | オーディオ

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