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トラブルいろいろ

こういう仕事をしていると日々さまざまな案件が飛び込んできます。今日は組立代行品で起こった事例の紹介です。
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これはSV-P1616D / KT150仕様の内部。シャーシ内を確認すると上の写真の右下、Rchのカソード抵抗の印字が消えていますね。そしてセメント抵抗の上に見えるラグ版が過熱しサブシャーシが茶色に変色しているのにお気づきになるでしょう。

セメント抵抗の印字消失は過大な電流が流れたことによる異常な温度上昇が原因で、おそらく上の事例では150℃~200℃(以上)まで上昇したものと推定されます。またサブシャーシの変色は過熱によってラグ板が炭化する過程で液体が漏出した結果と思われます。

これは以前にも書いたことがありますが、多極管アンプで最も多く起きるトラブル、いわゆる”G-K短絡”です。このエントリーの事例と今回が異なるのは①カソードバイパスコンデンサーがドライアップしていないこと、②抵抗表面温度が異常上昇していることの二点ですがトラブルの原因は恐らく同一で出力管由来です。

製品添付のKT150は真空管単体検査でもアンプ搭載検査でも全く問題はなかったので、あるいはお客さん所有の出力管による”球ころがし”の過程で発生した可能性もあると考え確認させていただいたところ予想通り。お持ちのいずれかの出力管に何らかの問題がある可能性が高いと思われます。

G-Kを起こす真空管が外観検査で検出できるといいのですが、残念ながら多くの場合、通電してみないとわかりません。特に来歴不詳の中古球などはリスクが高いので気を付けたいところです。修理ができる場合は大丈夫ですが最悪アンプも含めお釈迦になってしまいます。
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これがメインテナンス完了後の状況。アンプの修理の鉄則は”疑わしきは交換”、これに尽きます。ラグ板, セメント抵抗, 周辺配線, 予防保全的にカソードバイパスコンデンサーも交換したうえでサブシャーシを防錆タッチアップしました。現在通電していますが超いい感じ。音もクリアで抜け良く非常に好調です。

次はSV-2(2010)。845/211差し替え可能なプリメインアンプですが、お客さんのお申し出は”急に音が出なくなった”というものでした。

トラブルを抱えているアンプを預かってそのまま通電することは更に状況を悪化させるリスクもあるので非常に気を遣います。私どもでは一次側(AC側)を50Vくらいに下げて通電を開始し、じわじわ電圧を上げていって挙動を確認しつつ問題を把握するようにしています。

通電検査ではヒーター電圧OK, +B系も800V程度出ていてOKですが、C電源系(バイアス電源)が異常であることが分かりました。
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シャーシ内を観てみるとこの状態。この写真をご覧いただいたピンと来た方は当ブログの熱心な読者さんに違いありません。そう超音波加湿器によるミスト付着痕です。

前回のエントリーでは「超音波加湿器によってアンプが壊れたという話は伺っていませんが…」と書きましたが、今回の故障状況を詳細に確認すると、基板上の水滴あるいはミストによって短絡が発生した可能性が否定しきれない状況であることが分かりました。

最近の生活家電は高機能でたいへん便利ですが、意外なところで想定外の結果をもたらす場合があります。余談ですが最近流行の”ポタ電”(ポータブル蓄電池)を使ってバッテリードライブを試みようとしたところ、AC側がつながっていると強烈なスイッチングノイズで常時高周波ノイズがアンプに飛びついているという事例もありました。

この辺りは何が良いとか何が悪いとか一概に言えない部分がありますが、半年に一度くらいはアンプの中を覗いてあげてお医者さんが聴診器を当てるようにアンプのご機嫌を伺ってあげることが必要かもしれません。


by audiokaleidoscope | 2024-08-06 23:59 | オーディオ

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