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EL34を見直した話

今日は先週金曜の試聴対応の際の備忘記事を書いておきます。オーバーホールを終えたMIDを聴く会だった訳ですが、ここで質問…皆さんなら10インチ同軸2Way, 能率92dB, インピーダンス8ΩのMIDをどんなアンプで鳴らしますか?拙本の読者でしたら”能率が88dB以上あるし、口径10インチ(25㎝)の2ウェイならシングルで十分鳴る筈だよね”ということになると思います。では真空管は何を選ぶでしょうか。
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このMIDはタンノイの派生モデルという位置づけですので(くわしくはこちらをご覧ください)、自ずと300Bシングルで鳴らすという方が多いかもしれませんし、実際MIDユーザーの方で300Bアンプで鳴らしていらっしゃる方が多いのも事実です。

ただ今回試聴の際のリクエストは”EL34で聴いてみたい”というものでした。EL34…こう聞いて意外だなと思った方もいらっしゃるかもしれません。EL34は6L6系と同じで”はじめての真空管アンプ”的な位置づけと考えていらっしゃる方が多いタマ。そのEL34シングルが今まで体験したことのないような良い音でMIDを鳴らしたのです。正直これには私も非常に驚きました。
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JJ, Svetlana(Winged C), Telefunken(Germany), Mullard(UK)の四種類をSV-S1616Dで聴きました。上の写真はTelefunkenですがキリッと伸びる高域のキレ, 締まって明晰な低域にバランスがMIDに最適と感じました。正直こんな感じで凛と鳴るMIDの記憶があまりありません。今まではもう少しふくよかな方向性にチューニングしていた自分に気づきました。
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そしてこれはMullard。トップマークが見えるでしょうか。Telefunkenよりも中域に量感を加えた感覚でこれも実に美味でした。

振り返ってみると、どこかでEL34という真空管に対して自分のなかで深いバイアスがかかっていたのかもしれません。それぞれの真空管の個性と魅力を理解しているつもりでしたが、今回改めてEL34シングルの魅力を再発見したと同時に、オーディオチューニングの最大のポイントは主役であるスピーカーの個性を見極めたうえで最良の伴侶となるアンプをセットする重要さに改めて気づいたと感じた次第です。

これもお客さんのリクエストあったからこそ。一緒に同じ音を聴くことの重要性を再認識したひと時でした。


by audiokaleidoscope | 2024-08-05 17:44 | オーディオ

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