修理という投資
2024年 07月 28日

実機到着時点の一次検査では300Bカソード抵抗の過熱による断線とカソードバイパスコンデンサーの耐圧オーバーによるドライアップでしたので、或いは300Bのプレート電流暴走かとも思いましたが、詳細に確認すると300Bグリッドリーク抵抗のイモハンダでゼロバイアス状態となった結果のカソード抵抗断線とパスコン損傷であることが分かりました。
修理をするうえで一番大切にしていることは、単に壊れてました、直しました、幾らかかりました、で終わらないこと。故障に至った因果関係と直接の原因を明らかにし、そのうえで何をどう対処し、どう改善されたかに至るストーリーを可能な限り明確にレポートすることが重要だと思っています。

マルチリードのフリージャズプレーヤーというイメージが先行しがちなドルフィーの別の一面が垣間見える作品。特にLP1 B面一曲目の”Alone Together”は個人的に武満徹の”November Steps”に通じる空間性を感じ、深い瞑想へ誘われるよう。
オーディオ的にはリチャード・デイビスのベース。これほど”形”を感じる見事なベース録音は他にほとんど記憶がない。ドルフィーのバスクラリネットと対等あるいはそれ以上に主張しながら空間に浮かび対話する様は、深海の中の一陣の光のような幻想とイマジネーションをもたらす。