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音質改善二つのアプローチ

今日は作業場でアンプのグレードアップ案件。皆さんが現用の真空管アンプの音をもっと良くしたいという場合もアプローチは…

①真空管のグレードアップ
②カップリングコンデンサーのグレードアップ

の二つが定番です。今日はその事例紹介。
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このSV-91Bは2017年に組立代行で納めたもの。当初はLM310A,PSVANE WE300B仕様でしたが、その後折にふれて少しづつ真空管を良いものに替えていかれて最終的にWestern Electric 310Bスモールパンチ, Western Electric 310Bラージパンチ, Western Electric 300B, PSVANE WE274Bというラインナップに。

WE310A/Bが今後復刻されることは無いでしょうし、Western Electric 274Bは法外な価格で非現実的ですので、実質これが現在望みうる最強の布陣といえるかもしれません。
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内部は新品同様をキープしています。お客さんが大切に使ってくださっていることを感じることができるのはメーカー冥利につきます。前任の技術担当からアフターマーケット業務のバトンを受け取ってから更にこの仕事に誇りを持てるようになりました。総合特性を確認して測定結果もOKですので、成績証明書を添付して早々にお客さんにお返ししたいと思います。

カップリングコンデンサー交換も日常的に行っていますが、今日はエレキットTU-8900 / Western Electric 300B仕様のカップリング交換案件に着手しました。
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これが”Before”状態。赤丸のパーツがデフォルトのカップリングコンデンサーです。隣の角穴がメーカーが用意したアップグレード用のスペース。すでにカップリング交換は特殊なことでないという一つの証ですね。

手配線アンプの場合は標準パーツを外して付け替えるだけでOKなのですが、TU-8900のような基板タイプの製品の場合、交換は結構たいへんです。上の写真のように一旦アンプをバラして基板状態で既存のカップリングのハンダを外す必要があるので、慣れないと結構な大工事になることも。今回は”後変(あとへん)”事例ですが、できれば組立時点で替えておいたほうが手間的にも外注費的にも理に適っているかもしれません。
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標準カップリングを外してArizonaをつけた”After”状態。きちんと絡げ配線をするのと取付極性を間違わないように気を付けましょう。たったこれだけでアンプの音質が確実のワンランクアップする訳ですから、やらない手はないですね。
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再び基板をアンプに実装して、測定とエージングを行って完了。測定値自体に大きな変化はありませんが、音のテクスチャー(手触り感)やリアルな倍音感が明らかに向上しています。

今月の認定中古のなかには標準球, 標準カップリングで入荷している個体もありますので、縁あってゲットいただけた場合は是非アップグレードいただいて、より麗しい音質で楽しんでいただければ幸いです。


by audiokaleidoscope | 2024-07-21 23:59 | オーディオ

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