人気ブログランキング | 話題のタグを見る

二度付け歓迎!絡げ配線のすすめ

先月の認定中古で頒布させていただいたNS(New with Scratch:僅かな傷あり新品)。購入された方からは ”どこに傷があるの?”と問合せをいただくほどで、今回ご縁があった方は本当にお買得だったと思います。

今日はその”後変(あとへん)”でArizona化したSV-S1628Dの画像です。
二度付け歓迎!絡げ配線のすすめ_b0350085_16542443.jpg
これが作業後の写真です。後段グリッド側にサボテンマークが来るように配置します。かなり大型のパーツですので高めのヤグラを組んで既存のCRと干渉しないように気をつけます。
二度付け歓迎!絡げ配線のすすめ_b0350085_16542461.jpg
これが作業前の標準カップリングコンデンサー(緑色)です。これを外してArizona化していきます。

今日この工程をお見せするのはラグ板配線の基本となる”絡げ(からげ)配線”の簡易版を覚えていただこうと思ったからです。絡げ配線とは、その名の通りラグにCRパーツのリードを単に挿入するだけでなく巻き付けて、物理的に固定してからハンダづけすることを言います。
二度付け歓迎!絡げ配線のすすめ_b0350085_22114253.jpg
これはType A116 Amplifier Licensed by Bell Laboratory(1953)のラグ板拡大写真。抵抗のリードがラグをグルっと一周回っているのにお気づきいただけるでしょうか。これを見ていただくとハンダ前にしっかりCRを絡げておいて、その状態を安定的に維持するための手段がハンダとみることも出来ます。ハンダを介して電気的に導通している訳ではないのですね。

しかしこの絡げ配線はかなり経験とコツを必要とするのも事実です。そこで今日は完全な絡げ配線まで行かずとも、単なる突っ込み配線よりもはるかに物理的, 電気的に安定する簡易版プロセスをご紹介します。
二度付け歓迎!絡げ配線のすすめ_b0350085_16542543.jpg
まず標準コンデンサーを外したあと、Arizonaのリードを整形して取付ピッチを決めます。ラグ板の穴が塞がっている場合はSPPONで余分なハンダを吸い取っておきましょう。ラグに挿入した時に3~5mm程度リードが余るように切っておいて、矢印側(上の写真でいえばラグの上側)からハンダづけします。これが第一段階です。
二度付け歓迎!絡げ配線のすすめ_b0350085_16542502.jpg
次に余ったリードをラグに密着するように曲げ、こんどは矢印側(上の写真でいえばラグの下側)から再度ハンダづけします。串カツと違い二度付け大歓迎。特に質量の大きいパーツは積極的にハンダを流してしっかり浸潤させておきましょう。そして余った切片をニッパーで切り取ります。その際、切り取った切片がシャーシ内に紛れることがないよう注意します。これが第二段階です。
二度付け歓迎!絡げ配線のすすめ_b0350085_16542504.jpg
ここまで終わったら横倒しになっていたArizonaをグッとZ軸方向(上の写真でいえば手前側)に起こします。この際、パーツの定数や方向性が見えるようにしておきます。これで終了です。

今回は後変バージョンの簡易絡げ配線の実例をご紹介しましたが、アンプ製作の際に注意するのは一つのラグ穴に複数のリードが入る箇所がたくさんありますので、事前にしっかり絡げておいて最後に纏めてハンダすることをお奨めします。修理でお預かりするとハンダ忘れの事例をよく見ますので、最後まで気を抜かず作業いただくことを忘れずに!

購入したアンプのカップリングをご自身で替えたいという方も多い筈。このエントリーを参考にしていただいて是非トライしてみて下さい。


by audiokaleidoscope | 2024-07-03 16:54 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


by SUNVALLEY audio