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SV-P1616D 多極管仕様 輸出バージョン試作

今日も夕方から現場入り。パッと見、SV-P1616Dの出荷前点検か…と思われるかもしれませんね。しかしよ~く見ると
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上の写真はEL34仕様ですが、出力管をKT170に挿し替えて角度を変えて撮ってみました。
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出力トランスが橋本電気製に替わっていることに気づいて頂けると思います。まだ試作評価の段階ですが電気的, 音質的に問題はなければ、当社海外ディ―ラー特注品として四機種目の橋本OPTバージョンとして輸出される予定です。

なんだOPTを替えるだけなら誰にでも…というのは早計です。出力トランスは車のエンジンと同じくらい総合特性に影響を与えます。三極管シングルで無帰還の場合などはインピーダンスとコア容量の確認で置換可能な場合もありますが、プッシュプルで帰還量の大きいアンプでは、最悪の場合アンプが発振して破壊する可能性もありますので、慎重な事前の検討と交換後の詳細の測定が必要になります。

元々の出力トランスはSV-P1616Dに最適化された特注品(国産)でKNF(カソードNF)巻線を持っていますが、今回搭載予定のOPTにはKNF巻線がありません。NFBはアンプの微妙なバランスのうえに成立していますので設計的に非常にデリケートで設計変更が必要となります。

今回試作を依頼した職人さんのレポートによればデフォルトのNF抵抗と位相補正コンデンサー容量では可聴帯域外で発振。耳では分からず測定して初めて分かる事象であるだけに特に注意が必要です。結果的にOPT二次側に積分補正を追加して安定度を担保して完了としました。
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SV-P1616D / EL34_Hashimoto Version

これがEL34仕様, 積分補正ありの橋本OPT仕様の周波数特性と位相特性です。自分で言うのもナンですがゲイン29dB / 8Ω, 出力40W+40W, 周波数特性 10Hz以下~160kHz / -3dBという見事な結果になりました。KT170では15%~20%程度出力アップするでしょう。先日のエントリーで書いたMONO BLOCK化によってパラpp化すれば100W近い出力が現実のものとなりそうです。


by audiokaleidoscope | 2024-06-30 22:31 | オーディオ

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