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エモーショナルに音を浴びるために

今日は夕方から作業場で2014年納品のLM86Bの10年点検。2021年第一四半期ロットのWestern Electric 300Bも快調でハムバランス調整と全体測定で作業完了です。
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アンプは快調であること、製品引渡し日までエージングがてら鳴らし込ませていただく旨、電話でお知らせすると”じゃあ、明日伺いますよ、これが無いとどうも変な感じでね”と仰っていました。

このアンプの持ち主は知る人ぞ知るクラシックレーベルの主宰者で、ご本人は自宅兼スタジオでSACDとハイレゾ音源のオ―サリングを日々されています。クラシックファンの方ならきっとこの方が制作された音源を聴かれたことがある筈。

アンプを預かる際にいただいたメールでは

「デジタル音源の制作は、PCで動くソフトの中で波形だったりレベルだったり位相だったりを目で視て確認しながら作業せざるを得ません。直感的に作業しているつもりでも常に何かに拘束されているような感覚が何処かにあって音源制作が終わった後はスタジオを出てリスニングルームで100%エモーショナルに音を浴びたくなります。
(中略)
そんな時は真空管アンプに限りますね、それも三極管がいい…いろいろアンプを物色している時に知り合いの演奏家からこのアンプを紹介されて愛知まで一緒に聴きに行って本当によかったと思っています。しっかりメンテしてください」

と書かれていました。そういえば今日電話でも”真空管がない間ほかの機材で聴いてたんですが、なぜか自分の意図と違う音というか自然じゃなく感じに聴こえてしまって音楽に浸れないストレスで大変でした。現代アンプはどうも自分の何かを冷やす感じでね…」と笑っておられました。

アーティスティックな感性と技術をもった方々、いわゆるクリエーターとか”○○家”と呼ばれる人たちと真空管アンプを通じて知己を得てきました。オーディオが単に信号を受けとめて鳴らすだけの存在でなく、楽器のような表現力によって音楽そのものの力を倍化させてくれる…と何度伺ったか分かりません。

弘法は筆を選ばず...なんて言いますが、素晴らしい感性をお持ちの現代の弘法さん達が良い筆を得た時の作品はきっと更に素晴らしいものになるのでしょう。これからもそういう方々との交流を大切にしていきたいと思います。


by audiokaleidoscope | 2024-06-29 23:59 | オーディオ

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