今日は作業がてら整流管のバーンイン(初期枯化)。

私どもでは新品とくにNOSの整流管を下ろす場合は、まず一次側(AC100V)をスライダックで70Vくらいまで下げて20時間程度通電し、慣らしてあげてから正規電圧で20時間稼働させてから出荷するようにしています。
整流管は一本ですべての増幅管のB電流を賄う縁の下の力持ちで、負荷的にも寿命的にも一番厳しい条件で動作している訳ですので、特に貴重なヴィンテージ整流管では突入電流の負荷軽減も含め大切に扱ってあげるようにしています。昨日から3本まとめてバーンインしています。

SV-310EQでは70年代のWestern Electric 274B(プリント)。SV-310EQは二次側の電圧も電流も低いので整流管の寿命的にもそんなに気を遣う必要はありません。むしろ音色的な意味での慣らしといった方がいいかもしれません。

これは貴重な
40年代のWestern Electric 274B刻印。これもパワーアンプでバンバン使うのは少々気が引ける感じですので、SV-310でバーンインします。車のエンジンも同じですが最初が肝心。新車で買って初日からレッドゾーンまで振り込むような回し方をするのではなく、最初は2000~3000rpm程度にしておいて1000kmごとにオイル交換するような愛情が最終的に大きな寿命の差につながってきます。

そしてMullard CV378 / GZ37。GZ37については
以前書いたので記憶されていらっしゃる方もおいでかもしれませんが、今回改めて新品を下ろして聴いてみると、太く円やかな音で実体感がアップする感覚で好感が持てます。274Bはニュアンスに富み、繊細でディテールを際立たせる感覚ですが、このGZ37は滔々と流れる大河の如き雄大さを感じます。
整流管も適材適所。1616系アンプをお使いの方で毎日10時間くらい聴くという方にはダイオードモジュールの方が寿命を気にせず楽しめるメリットがありますが、ここイチバン!というという時には、こんなとっておきの整流管もいいかもしれませんね。