今日はスピーカー関連の性能確認を行い、今月のアイテムはこれで基本的に目処が立ちました。御開帳に間合うのかと気を揉みましたが、1機種を除いて測定も終わりましたので何とか皆さんにご迷惑をお掛せず済みそうです。
中古市場におけるスピーカーの品質確認は販売者によって様々です。私どもの場合は外観, 機構締結, 端子研磨, 正弦波スウィープ(F0~20kHz), ピンクノイズによるエージングによって個別的瑕疵がなく、ペアとして問題なく使える近似性を具有しているかを事前に確認しています。

この写真はReference35の確認風景です。アンプの入力にサイン波を入れ、スピーカーのHOT/COLD間の電位を一定にしてスピーカーの前にマイクを立てて帯域レスポンスの個体差がないか確認を行います。
耳での良否判断も重要ですが、非常に高い(あるいは低い)帯域では信頼性の測定が有効であることは言うまでもありません。新品の販売でもここまではやりませんが中古品は更に留意して出荷しなければならないことを肝に銘じています。気が付かない瑕疵が一番怖いですから。
わたし位の年齢になると15kHzは音としてはほぼ聴こえません。ただ気配というか空気感が違うという感覚は若い頃から変わっていませんが、ツィ―ターの場合はそこをデータで補完していきます。

久々入荷のPioneer PT-R4(ネットワーク内蔵リボンツィ―ター)。ハイパスフィルターを搭載しているのでメインスピーカーにパラって繋ぐだけで効果を発揮する優れものです。

0.1W, 軸上20cmのレスポンスです。無指向性のコンデンサーマイクを使っていますので周辺ノイズも拾っていますから上のグラフで2kHz以下は周辺ノイズとして無視すべきですが、かなりリニアリティの高い遮断特性を有していて20kHz付近までの超高域再生が出来ていることが分かります。

これは今月初出品のTannoy ST-50。PT-R4と同じネットワーク内蔵型ですが、カットオフ周波数とアウトプットレベルが可変でき、かつ設置仰角を選べるのでST-50をやや下向きにしたり水平にしたり上に向けるなどの微調整も可能です。
25mm口径ドーム型の、24K蒸着・チタニウムダイヤフラム/ネオジウムマグネットを採用。100kHzまでの再生が可能な広帯域設計です。
当社では22.05kHz以上の測定は出来ませんが、実際データをみてみると

カットオフがPT-R4より高く、PT-R4がかなり広範囲にが音響的影響を及ぼしているのに対し、ST-50は専ら10kHz以上の倍音を足していることが分かります。
音の面で比較してみるとST-50の方がかなり能率が高く音としての認知度は高いです。またピンクノイズを入力し両者の出音を比較してみるとST-50は”シュー”という感じの音、PT-R4は”サー”という感覚に近い印象です。同じスーパーツィ―ターでも効き方が全くことなることを両者は教えてくれているようです。
あとご紹介できていなかったのは

CEC TL3Nシルバー。メーカー完全オーバーホール上がり品です。外観を除き新品と同様の品質と言っていいでしょう。

そしてElekit TU-870R未組立キット。許されるなら自分も買いたい…みんなここから始まった、そう思わせられる思い出の製品ですね。
…という訳で周回遅れランナーがやっとペースメーカーに追い付いてきたという報告を兼ねた今日のエントリーでした。有難うございました。