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ヴィンテージチューブ悲喜こもごも

”知らぬが仏”とか”見ぬもの清し”というのは真空管、とくにヴィンテージチューブにも言えることのようです。
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各種310A/B, 337A。大半がWesternの50年代~70年代モノです。C to Cで一年以上かけて集めたものということですが、電気的にどうかは分からないので測定して欲しいというご要望でお預かりしたものです。NOS(未使用)あるいは新同として出品されたものを自分なりに吟味して落札されたとか。

いつものようにチューブチェッカ―でGmを測定した後に、SV-91B初段で五結時, ドライブ段で三結時の動作確認を行ったところ、たいへんお気の毒なことに15本中棄却値以上のGmが出たのは4本のみで、うち一本はマイクロフォニックノイズ過大, もう一本はIp暴走気味でペアとして使えるものはないことが分かりました。NC/NR(クレームなし、返品なし条件)で購入するリスクは分かっていても、お客さんの落胆は小さなものではありませんでした。

実際私どもがB to Bで調達しても一定割合のNG品が混じっていることが前提ですが、不良品を市場に出さないという大きなミッションがありますので、入荷検査だけでなく出荷前点検もかなり時間をかけて行っています。
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これは今週お渡し予定のBrimar CV4004(新品)です。今回のお客さんはSV-19Dで使う予定と伺いましたので、真空管単体だけでなく実機で動作確認をすることで検査の精度が格段に上がります。

このBrimar CV4004 + Telefunken EL34の組合せは一般的な多極管PPの”キレ”とか”スピード感”というような表現では括れない粘りや弾力感があり、皆さんが真空管をアップグレードしてより高みを目指したくなる気持ちもよく分かる素晴らしい音。ただし…間違いのないものを手に入れていただきたい、それだけです。
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このSV-501SE搭載のWestern Electric 300Bは南半球へ旅立つ予定です。お客さんはSV-91B, SV-501SEの二台持ちですので、両方で動作確認を行って万全を期します。このWesternは出来立てでヴィンテージではありませんが、半世紀後にも音楽を奏でている可能性もあり、Future Vintageとして特にバーンインは念入りに行います。

よく言われる”Western Electric 300Bのツィ―ター要らず”は健在で、周波数レスポンス云々よりも位相特性の良さ、シビランス(歯擦音:サシスセソ)の自然さは他の真空管の追従を許しません。これから冬に向かう地でもきっと大活躍してくれることでしょう。

by audiokaleidoscope | 2024-06-11 23:59

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