月末はバタバタです。以前とくらべて特に増えているのが注文完了後のカスタマイズオーダー(通称”後変”=あとへん)です。
簡単にいえばHPで注文を完了頂いたあとに真空管その他の仕様をカスタマイズして欲しいというご要望。認定中古の場合ですと、諸々の整備や測定が終わって出品する関係で、多くの作業が仕切り直しになるのでたいへんといえばたいへんですが、ご要望の真空管やパーツがあれば、可能な限り対応させていただくようにしています。
それだけタマやカップリングを替えると音が変化するということが文化として定着してきたということかもしれませんね。
これは先日の特選中古のmodel2。デフォルトのEH6922からTESLA E88CC(Yellow Letter, Red Top, Sword Symbol)に替えて現在エージング中。EH6922のスカッとクリアな音も良いですが、このTESLAはE88CC系の中でも、とりわけふくよかで厚みがありmodel2とよく合います。問題はバラツキの多さでペア選別がかなりハードルが高いことですが、実に良い音です。
こちらは少し前に納めたSV-310。新品で納品させて頂いた時はPSVANE WE仕様(PSVANE WE310A, PSVANE WE274B)だったのを今回Western Electric 337A,
Mullard CV378 / GZ37に替えて音をぶっとく変化させていきます(SV-310, SV-91BではOKですが、一般的には274B→GZ37の差換えは不可能ですのでアンプの仕様をご確認いただき、自己責任で実施して下さい)。
Western Electric 337A。これまでもブログに何度か登場していますが改めて説明しますと,337Aは主にRF帯(高周波)用途のバリμ管というやや特殊な五極管ですが、低周波(オーディオ)用としても使え、その場合は
Western Electric 310Aと同等(厳密にいえば僅かにμが低め)に使えます。
音質的にはかなり重心は低めで倍音成分が多く、太めの音に変化します。もともと厳しい条件下で使われていた真空管なのか中古市場で流れているものは棄却値前後あるいは以下のものがかなり多めで注意が必要です。C to CでNOS(未使用品)と謳われて売られている個体の90%以上はNOSではありませんので、信頼出来る取引先から入手すべきと思います。
NOSかどうかは色々な視点でチェックが可能ですが、今回のペアの場合はまず元箱(軍箱)記載のバッチナンバーと中身が一致していること。今回は68年製造, 69年出荷ということが分かります。
そして箱のなかにもう一枚紙が入っていて箱のスタンプと同内容ですよ、ということを証明しています。今回は完全にシール(封印)された状態でしたので100% NOSですが、よく C to Cで”ピンがきれいなのでNOS云々”と書かれていることがありますが、それは正確でなく、むしろピカピカなのは後から研磨したものであると判断すべきです。
この前書いたように、人気にあやかって
怪しげなものも結構出回っていますので、自分で後変(あとへん)する場合は十分に吟味してから行っていただくことをお奨めします。