仕様か状態か…新品と中古の関係

今日は完成品の検査。

SV-P1616D / KT170仕様

SV-EQ1616D / 松セット

組立代行品につきましては各地の熟練の職人さんが辣腕を奮って下さっているので、私としてはユーザー目線に徹した検査を行います。電気的な測定はもちろんですが、それ以外の部分たとえばセレクターやVR(可変抵抗)の接点洗浄や機構系(端子, ターミナル類)の固定確認, ネジ締結部分の定トルク管理など測定では検出できない管理項目のチェックを時間をかけてやっていきます。

そのあとは電気用品安全法に基づく自主検査(絶縁抵抗：500V/1MΩ以上, 絶縁耐力：1000V/1min)等を行って初めて出荷OKのフラグが立ちます。ご注文から出荷まで3~4週間かかってしまうのも私どもが作り置きをしないからで、お客さんにより一台一台仕様が違うからということもありますが、制作, 検査, 確認それぞれのプロセスに工数と時間が結構かかることが最大の要因です。私どものモノづくりに大量生産という言葉は昔も今も無縁です。

仕様というワードで思い出しましたが、”こんな値段で中古を売ってたら新品売れないでしょう？”と時々訊かれます。実際はどうかと言いますと中古が好調な時ほど新品販売も元気なのです。どうもこれはオーディオの世界だけでなく、車の世界でも同じで中古車が出る時は新車も好調なんだとか。

或る方によれば”新車と中古車はお客さんの見るところが違う…新車は「仕様」(カラー, スペック, オプション等)で選ばれるのに対し、中古車は一台一台の「状態」と「価格」にプライオリティがあって、客層も購入動機も違うという話を伺ったことがあります。当社の認定中古の場合は”今ない商品だから中古一択”という側面が相当あるので、車とは違う部分もありますが、新品と中古の需要バランスは増減の関係にないことだけは事実のようです。

新品であっても中古であっても安心を提供するという目的には全く違いはないので、今後も両方の良さを生かしつつ両立していけたらと思っています。