呉(Wú)ちゃんの想い出

一泊二日、行程900キロ強の巡業からさきほど戻りました。昨日は製品の出し入れで濡れネズミ状態になって風邪を引きそうでしたが、今日はカラッと晴れていい天気。道も思ったよりは空いていて快適な一日でした。

今日は都内から埼玉中東部へ移動。Yさんと15年以上ぶりの再会を果たすことが出来て懐かしい製品たちをお預かりしてきました。レアアイテムもあって買取りが成立したら時間をかけて整備して、次の方にしっかりバトンをお渡し出来ればと考えています。

今回埼玉行きが決まった時から、ぜひ伺いたいと思った場所がありました。初めてのところですが、私にとって特別の場所。
ここがその場所。看板等は消させていただきましたが、いわゆる町中華です。残念ながら今日はお休みでしたが、中を覗くと色紙がたくさん貼ってあるのが見えたので、きっと有名人やスポーツ選手が訪れる有名店なのでしょう。今日なぜここへ来たかったか…少し書いておこうと思います。

私どもがオーディオの仕事を始めて今年で26年。一時期オリジナル製品の海外生産に活路を見出した時期がありました。しかし言うは易し、行うは難し…日本の常識が通用しない外地の難しさを痛いほど思い知らされました。

そんな時、知り合ったのが中国出身, 日本在住の呉(Wú)さんでした。単に通訳としてだけでなく、さまざまな課題とりわけ中国人と日本人の「文化」の違いについて、我々だけでは乗り越えられなかった壁をつき崩してくれました。SV-A1/A2, SV-2300LM, LM91A, LM86BそしてJB-320LMなどがリリース出来たのも呉さんの協力あってのことでした。

しかしながら時代の流れ, 様々な要因から海外生産をやめ、全てのプロセスを国内で完結させることに軸足を移しました。自ずと一緒に仕事する機会も減っていきましたが「同じ釜の飯を食った」感謝の気持ちが消えることはありませんでした。

数年後、呉さんが所属していた会社を辞めたという話を伺いました。中国生産のあり様も少しづつ変化するなかで或る意味仕方なかったことかもしれません。風の噂で中華料理屋を始めたと聞いて、彼ならきっと上手くやるに違いない…いつかお店に伺って改めてお礼を言いたいとずっと思っていたのです。

今日は呉さんには会えませんでしたが、店の前に立って心の中で「ウーちゃんお久しぶり！」と呟いて帰ってきました。今日私たちが元気に仕事できているのも、あなた達の温かいサポートのお陰です。