昨日写真をアップさせていただいたTさんのSV-2初代モデルの写真コメントで「さまざまな名機, 高級機が見切れていて、きっとこの部屋は相当なオーディオミュージアム状態になっているような気がします」と書いたらTさんが”こんな感じです”と追加で写真を送って下さいました。
予想通り...いや予想以上のワンダーランド!
ノーチラスとパラゴンが同居している空間。レビンソンの新旧モデルとマッキンのMC1201でしょうか...オーディオ好きには堪らない空間ですね。
4344の別ショット。目を凝らしてよ~く見るとSV-4, SV-P1616D, SV-12Dなど当社モデルやALTEC 409B(8インチフルレンジ), またLD(レーザーディスク)と思しき円盤も見えます。Tさんとはお会いしたことはありませんが、まさにオーディオ全盛期の機器の質感を愛する同世代感プンプンな感じです。
そういえば時々”新製品は出ないの?”的なお問い合わせを頂きます。振り返ってみれば私どもが最後にリリースした新製品はSV-EQ1616Dですので、かれこれ4年半前になります。
この前、商談にいらっしゃった商社担当者さんが言っていました。”ぼくらの仕事は新製品がないと会社が成り立たない。常に先物(これから出る製品)を前売りし続けるのがミッションなんです”…この言葉は非常に重く感じました。
わたしも10年くらい前までは同じ気持ちでした。多い時は毎年4機種くらいニューモデルを立ち上げてオーディオ雑誌にリリースやデモ機を送ってイベントで”これが新製品です!”とデモをする、この繰り返し。その一方で過去モデルは文字通り過去のモノになっていく、その繰り返しに違和感がなかったといえば嘘になります。
スタッフと何度も意見交換し、これからは原点に戻り、ベーシックでミニマルかつシンプルな製品に特化していく…そのモデルのなかで真空管やコンデンサーのグレード設定をすることで多様なニーズに応えるビジネスモデルに変えていく…という方針に大きく転換をした結果、産まれてきたのが現在の1616(イロイロ)シリーズでありました。
シングル, プッシュプル, プリ, フォノイコ, 三極管, 多極管, 送信管…これだけあれば増幅系としては十分。あとは既存モデルでニーズの高いSV-91B系, SV-284D系シリーズモデル + SV-8800SEを高級ゾーンとして残す他はモデル数を絞る、そしてその代わりに既に市場にある既販モデルのサポートに全力を注ごう…という形で始まったのが現在の”特選中古品”スキームでありました。
新製品がないと会社が成り立たないのは寂しいこと。私たちには既に市場に8万台以上の製品があり、それらと共に生きていくことに決めて既に何年も経ったということになります。おかげさまで非常に楽しく満ち足りた日々を過ごさせていただいています。
冒頭のTさんの写真を改めて見ても、オーディオ雑誌の表紙を飾る新製品のショールームとは趣を異にしています。本当に自分が欲しかったもの、いちど手にして使ってみたかったと思い焦がれたモノたちと過ごす幸せな日々。
その夢のためにはそれらの機器を保守し使い続けられるようにサポートする人や組織が必要。私たちの能力では自社製品の品質を守ることで精いっぱいですが、志ある人たちとこれからも連携し、実はオーディオファンの多くがTさんと同じような指向(嗜好)であることを忘れないようにしたいと思っているところです。