明日から会社的にはGWのお休み。スタッフ皆それぞれの時間の過ごし方でリフレッシュしてもらえたらと思っています。
今日は最終日で作業場とショールームを行ったり来たり。久しぶりに試聴の様子をレポートしてみたいと思います。
今日は大阪からご夫婦でのご来訪。スピーカーは自作の
ダイヤトーンP-610DA×2のバスレフ箱をコンパクトなデジタルアンプで鳴らしておられるということで、アンプ持込みで
SV-S1616Dと比較してみたいということで遠路お越し下さいました。試聴用スピーカーはペーパーコーンフルレンジで能率も同じ92dB / 8Ω, バスレフの
LM69を用意して比較試聴に臨みます。
試聴の目的はずばり「違いはなんだろう?」。デジタルアンプと真空管アンプ、ほんとに音は違うのかな…その違いは自分にもわかるのかな…そんな動機とお見受けしました。
これが持ち込まれたコンパクトなデジタルアンプ。省スペース, 高効率, そしてなによりコスパの良さで市場を席捲しました。プリアンプには真空管が使われていますが、送り出しはOPアンプでしょうか。
持ち込まれた製品は日本の商社が入っているので大丈夫だと思いますが、海外から並行輸入されている類似製品の中には凄いものがあって、以前”真空管をアップグレードしてほしい”といって持ち込まれた同種の小型アンプの中を見させていただくと基板パターンは真空管のヒーターだけ配線されていて、タマを抜いても音が出るという斬新な設計の製品に出会ったこともあります。真空管が使われているというだけでアピールになるということかもしれませんね。
比較試聴の結果は如何に…音は目に見えませんし、感じ方も人それぞれですので、好き嫌いで選んで良いのが趣味の道具の楽しさだと思いますが、嗜好を超えたところでの明らかな違いは①中低域の量感と弾力, ②奥行感の表現, そして何より③音量を絞った時に音が痩せないというところが共通の感想でした。SV-S1616Dはキットで、ということでしたので完成したらデジタル VS 真空管の聴き比べがタップリ楽しめそうですね。
試聴が終わって作業場へ戻ってメインテナンス作業の再開。昨日届いたSV-310EQから着手します。
製品同梱のレターでは”電源ON後にRchから台風のようなノイズ”というメモが。こういう感覚的な情報が非常に参考になるものです。なるほど通電してみるとRchから低周波を含んだ不規則ノイズが発生します。これは真空管の劣化(ヒーター/カソード間の絶縁不良等)が懸念されるケースですので、310Aを左右入れ替えてみると現象が反転しました。手持ちの310Aから近似特性の個体を選別し一本交換で対応することにしました。
フォノEQはMMポジションで40dB(100倍), MCポジションで60dB(1000倍)前後の利得を有し、真空管機器としては最も設計手腕が問われるカテゴリーです。当社出荷基準としては仕上がりゲインでL/R差0.2dB未満(10kΩ負荷, 正弦波, 1kHz/0dBm)でないと承認を下ろさないことにしており、シャーシ内部のTESLA E88CCも交換してゲインマッチングを万全としました。残留ノイズも下がって快調。ぎりぎり休み前の出荷が出来てホッとしたところです。
あとはGW中の巡業準備。
今年のGWは前半納品&出張買取で関東方面に出ます。写真はエージング中のGolden Dragon 845 Premium Metal。2015年頃まで販売されていたと記憶していますが、当時曙光電子で最上級の845でした。現在お使い頂いているPSVANE 845との比較が楽しみです。
その他の宿題は真空管の選別。詳細は後日ご案内しますが、新しい当社オリジナル真空管シリーズが入荷しており、その全数検査を兼ねGm(相互コンダクタンス)選別を行う予定です。
これは米Hickok社がWestern Electricに納入した真空管試験機KS-15750-L1(完全メンテ済)。送信管系を除いて主要真空管が一台で選別できる機台です。チューブチェッカーというと朝鮮戦争時に米軍が戦地で使ったTV-7D/Uが知られていますが、その多機能版がKS-15750-L1です。
まず12AX7, U7, T7, 12BH7各100本の双極Gm測定から始めようと思っていますが、計400本×2ユニット=800回測定するというのは気が遠くなりそうな作業です。外注さんにも手伝ってもらいながら、出来るだけ早いタイミングで皆さんにご紹介出来ればと考えています。
それでは良いお休みを!