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Prime 300B ver.5の想い出

今日はPrime Tube(当社オリジナル真空管)のストーリーについて。

きっかけは確か2002年頃、当時お付き合いのあった台湾の商社さんから”品質, 価格ふくめ真空管を安定的に調達するためにはオリジナル真空管を持つべき”とアドバイスを頂いたこと。その頃の中国製は品質的にまだ不安定だった時期ですし、ロットごとに仕様や特性, 音色も変わったりして都度調達の限界を感じていた時期。渡りに船とばかりにメーカーに色々と要望を出して当社が必要とする品質や音色に少しづつ近づけるようになりました。

生産中国, 選別日本というスキームは当時まだ一般的でなく、都度調達では歩留まりが上がらずに苦労したものですが、オリジナルブランドを持つことになって選別の手間が増えたものの、不良率は従来品の1/5以下に出来ました。

そのPrime Tubeのなかで代表格といえるのが現在も販売を継続しているPrime 300B ver.4とver.5(完売)でした。
Prime 300B ver.5の想い出_b0350085_18163487.jpg
これがそのPrime 300B ver.5(新古)。今月の特選中古品に急遽追加出来ることとなりました。ナス型あるいはBell-Shapeと呼ばれる独特の形状が印象的ですね。

ベースモデルは当時Shuguang 300BS-Bと呼ばれ、いわゆるメッシュタイプのプレートに加え、Western Electric 300Bと同じ釣竿型フックフィラメントによる繊細な音色と高域の伸びが非常に魅力的だったものの、構造的要因によるフィラメント断線事故が多く、これでは駄目だ!…ということで商社を通じてメーカーにリクエストを出した結果、別注でなら…ということで出来たのがこのver.5だったという経緯です。

ここから先は当時あまり公表していなかったお話かもしれません。ver.5登場以前から販売していたver.4は、通常のST17型ガラスに入れ、当時のスタンダードであったスプリングフック形式のフィラメントだったのですが、実はver.4とver.5はガラス形状とフィラメントフック形式が違うだけで、それ以外はver.4と同一ということは一体どのくらいの方が当時ご存じだったでしょうか。まるで現在のKT150とKT170の関係にそっくりですね。

その違いだけでこれだけ音(鳴り)が違うというのは、当時個人的にも大きな驚きでありました。パワフルで実体感があり、中低域の厚みがあるver.4に対し、僅かに細身ながら涼やかでクリアなver.5は当社300Bで最大のヒットとなり、ver.4と人気を二分する結果となりました。

今日そのver.5が入荷し、非常に懐かしくもあり、久しぶりにその音を聴く機会を得て、とても感慨深く感じた次第です。Western Electric 300Bとも現行の中国製300Bともひと味違うこの音はver.5だけの個性です。

by audiokaleidoscope | 2024-04-16 22:16 | オーディオ

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