2012年以前のように日々ブログをアップすることをもう一度やってみよう...と思い立って一ヶ月。何が変わったかといえば戴くメールの数が日によっては再開以前の倍近くになったこと。ブログの内容に紐付いたお問い合わせが多い訳ですが、やはり常日頃のコミュニケーションは大事だなあ、と感じています。
さて今日のレポートを五月雨式に…。
まず最初に着手したのがSV-2300LM(交流点火2A3 / 300Bプッシュプルプリメイン)のメインテナンス。初段6C6をGEからRCA(NOS)に交換しました。キット組立品ですが出力約23W / ch, 残留ノイズは交流点火で1.2mVと見事なレベル。
つづいて最初期のSV-91B。カルテから2004年モノであることが分かっています。20年以上のご愛用に感謝を込めてオーバーホールを実施し、今日出荷前検査を行いました。
この機台で大変だったのは全測定箇所が電圧正常, 真空管にも異常ないものの、最大出力が5W程度しか出ないというもの。お客さんもお手上げで、パーツレベルに遡って個別に検査したところ、電源部パイフィルターのケミコンの一つの容量がほぼゼロまで抜けていることが分かりました。
通常ケミコンが劣化すると膨満したり液漏れしたり塩を吹いたり最悪の場合はドライアップ(破裂)したりして何らかの外見的兆候が見られるものですが、この個体では見た感じ全く正常で特定に時間がかかりました。恐らく電源部のインピーダンスが上がってドライブ能力の著しく落ちていたのでしょう。当該ケミコンを交換し、全体点検を行って初期の特性を回復しました。
つづいてWesten Electric 300B(2021年製造, 正規輸入品)の検査。片側に低周波ノイズが乗る(ことがある)というご相談で、確認を行ったところコールドスタート(タマが冷えた状態からの通電)でご指摘事項が当社環境でも再現しました。お客さんから輸入元に連絡された結果、適切に対応頂けるということでひと安心です。
これはSV-300LB(トランス出力プリアンプ)のWestern Electric 300B仕様組立代行品のチェックをしているところ。Mullard CV4024, 仏MAZDA 12BH7A, VALVO GZ34という強力な布陣です。周波数特性10Hz以下~100kHz以上(-1dB / 0dBm, 10kΩ負荷)は見事。
…こうやってみると一日に何台も仕上がって効率が良さそうですが、モノによっては一ヶ月以上かかってやっと出荷検査というものも少なくありません。
現在は職人さん7人態勢で日々頑張っていただいていますが、最近、修理案件(それも10年以上前の個体)が急激に増えているので少々時間をいただいています。或る職人さんから「修理ブログはほどほどに…」と忠告を受けているところですが(笑)、引き続き頑張って一年でも長く使って頂けるように頑張っていきたいと考えています。