そろそろ今月の特選中古の準備が本格的に始まろうとしています。今月はGWの関係で通常月よりも少し早めの19日(金)か10日(土)の御開帳になりそうです。
今日は...
久しぶりのMC-3とSV-192S。さまざまな調整とメインテナンスが待っています。MC-3は発振周波数の校正, SV-192Sはゲイン調整, ノイズチェックと必要に応じて真空管の交換、またヴォリューム, セレクターまわりのアルコール洗浄などやることたくさん。あと入出力ターミナルの研磨も必須です。
SV-mini91B(入力トランス付無帰還300Bシングル)。これはPSVANE WE310A-PSVANE WE300Bバージョンです。SV-mini91Bには幾つかの世代があり、当初はそれぞれのオリジナル仕様を温存する形で再生しておりましたが、ここ1年くらいはヴォリュームの有無と初段管の仕様を除き最終仕様に変更しています。
これは真空管単体で買い取らせていただいたTelefunken EL34マッチドクワッドをSV-19Dデモ機で確認しているところ。数百時間の通電履歴が推定されますが、アイドリング電流40mAにバッチリ調整でき極めて安定した状態をキープしています。いずれ相応しいアンプに実装してご提供できる日まで大切に保管していきます。
夕方に整備業務をひと区切りして車でショールームへ移動。数年前に知り合ったMさんがスピーカー持込で試聴にいらっしゃいました。音楽と映画の両方を楽しめるシステムを…というご要望だったのですが、当時はスピーカーのイメージが固まっておらず、シアター系にするのかモニター系でいくのか等、迷っておられるご様子でしたので”アンプを決めるのは最後。まずが”これしかない!”というスピーカーが決まってから連絡下さい…と申し上げて何年も経っていたという感じです。
そして遂に決まった
YAMAHA NS-1000M。”1000モニ”の愛称でいまでも多くのオーディオファンに愛される名機の一つです。しかるべき方が適切にメンテされた個体という事でコンディションも上々。今日はニアフィールドでの試聴でしたのでツィ―ターを内側にしてセッティングしました。
スピーカーを車に積んで遠路お越しになるのは大変ですが、自分のスピーカーで各種アンプを比較試聴するのは大きな意味があります。とくにMさんのようにスピーカー選びで紆余曲折があった場合は、ご自身のスピーカーの特質を客観的に把握するためにも非常に有益なことです。
Mさんのなかには当初KT150で…というイメージがあったようです。公称能率90dB / 8Ωという条件からシングルでもいけるんじゃないか…ということでしたので先ず
SV-S1616D / KT150仕様で聴いていただきました。
拙著を読んで下さった方はご記憶かもしれませんが、シングルアンプで鳴らせるスピーカーのガイドラインとして①能率88dB以上 ②口径10インチ(25㎝)以下のフルレンジか2ウェイを基本として下さい、と書いています。
その点では1000モニは能率的にはOKですが、12インチの3ウェイで帯域分割するLCネットワークの規模(特にウーハーのローパス定数)からプッシュプルの方が相応しい旨を申し上げ、参考として
SV-P1616D / KT150仕様を聴いて頂きました。すると1000Mならではのモニター的キャラクターが全面に出て、余裕綽々でクリアーなスケール感が楽しめることをご自身の耳で体験いただきました。他方ややクールで客観的, 分析的な表現になる多極管ppの持ち味も理解頂けたと思います。
そして最後に聴いていただいたのが
SV-P1616D / 300B仕様。多極管仕様と比較し出力は半分(25W)程度ですが、繋ぎ変えた途端、300Bppならでは弾む感覚, 聴感上のダイナミックレンジの拡大, 熱気のような表現が1000Mから飛び出してきてMさんは満面の笑みに。
実は300Bアンプとモニター系スピーカーの蜜月は好事家の間で広く知られており、スピーカーの能率と音量さえ間違わなければ300Bシングルで素晴らしい音が出ます。たとえばB&W805系辺りを8~10畳程度のリスニングルームで楽しむのであれば、よほどの爆音でない限り何の問題もないと考えていいでしょう。そのうえの801 / 800系は300Bppの独壇場です。
これは
5年前のブログから引用した別の方の事例。モニターというイメージを大きく超えた表現力が印象に残っています。今日いらっしゃったMさんのリスニングルームは8m×8mという大空間ですが、きっと1000Mが雄大にリッチな音で音楽を鳴らしてくれることでしょう。