Marantz7あるある ~真空管プリを活かすために~
2024年 04月 03日
なかには購入時”完オリ”という触れ込みだったのにパーツが替わっているものも結構あったりします。
せっかくお預かりしても後からトラブルになる話もあると伺いますので、旧知でお互い信頼し合える方のご依頼のみお預かりしています。
つい脱線してしまいました。今日の本題はここからです。Marantz7など往年の名機と言われるプリアンプを大切に使っておられる方は今でも沢山いらっしゃいますが、いわゆる”使用上の注意”というか知っておくと良いことが幾つかあります。
このデータが何を示しているかというと、プリから見た負荷(つまりパワーアンプ)によって低域特性が全然変わってきますので要注意です、というお話です。私どもではプリアンプの測定を行うとき想定負荷を10kΩとしています。実はこの値はプリにとってかなり厳しい条件です。一般的に現行の半導体アンプあるいはデジタルアンプの入力インピーダンスが10kΩ〜20kΩであることを意識し、それら現行アンプでも十分ドライブできないといけないだろう...という考えの元に設定しています。
なのでこれはMarantz7が設計的に悪いという話でなく、使う側の知恵として接続するパワーアンプの入力インピーダンスが100kΩ程度(最低でも50kΩ以上)あった方がいいですよ。というお話なのです。昔からタマアンプを使っておられる方には常識のような話ですが、案外知らずに悩んでおられる方もおいでになるかもしれません。
なお真空管プリで出力が2系統(以上)ある場合は更に注意が必要です。例えば入力インピーダンス100kΩの真空管アンプを2台繋げばプリから見た負荷インピーダンスは50kΩに下がりますし、もっと厄介なのは例えば1系統に100kΩの真空管アンプ, もう1系統に10kΩの半導体アンプを接続した場合を想定すると負荷側の合成インピーダンスは約9kΩにまで下がる計算になります。とてもじゃないですが、これではいくら名機でも真空管プリの良さは出ません。
昔から「ハイ受け, ロー出し」の重要性を訴えてきました。つまりなるべく低いインピーダンスでプリから信号を送り出し、パワーアンプはなるべく高いインピーダンスで信号を受け取る。その差分が大きいほど信号ロスが減り純度の高い信号伝送が可能という意味の一端を二つの表は示しているのです。
気をつけたいのは半導体アンプの全てが悪であるということでは決してありません。例えばオールドレビンソンなどでハイインピーダンス受けの機器もあります。要は活かすも殺すも使い方次第ということですね。