3月はヒトもモノも動く月。手直し依頼品や組立代行依頼などが一気に入ってきました。

これはLM86B。トランスドライブ交流点火300Bpp(262A-262A-300Bpp-274B, MONO×2)で10年以上前の製品。予約分のみの半受注生産品でした。今月末を目標に現在1ペア新品再生プロジェクトが立ち上がっているのですが、事前に会社のデモ機でシミュレーションをしているところです。

いうまでもなく現状で問題がある訳ではありません。上の検討中回路図に赤や緑で色々と追記中なのにお気づきと思いますが、せっかく新品再生するなら、製品開発の頃に立ち返って再検討すると共に10年以上経ったからこそ出来る改善はないか考えているのです。
例えば車でも新車の頃には気づかなかった様々な問題に後から気づいた経験はないでしょうか。10年乗ったからこそ気づくこと、10年経ったからこそ分かることもきっとある筈です。その昔、ある車種の無塗装の樹脂バンパーで射出成型時に生じたタイガーストライプ(縞状の紋)が市場に出て数年後から見え始め、対策に追われた話をお客さんから伺ったことがあります。なんでも新しいうちはそれなり。真価が問われるのは時間が経ってから…というのも一つの真理かもしれません。
私どもの業態を格好つけてSPA(企画,製造,販売を垂直統合させ消費者ニーズに迅速に対応できるビジネスモデル)などと説明することもありますが、メーカーは先の事で手いっぱいで、10年以上前の製品の改善にまで頭が回っていないということが大半なのだと思います。私も実際そうでした。
しかし2021年秋から仕事の仕組みを変えて自分が技術統括を兼任するようなってから大きく考えが変わり、品管(QA)から品保(QC)的な視点に大きくシフトしました。作り手視点(今後製造する製品が対象)から買い手視点(すでに市場にある製品が対象)により興味を持つようになったと言い換えると分かりやすいかもしれません。
どんなに細かく検討しても100点満点の製品というのは出来るものではありません。だからこそ修正して不具合を無くしていく...その継続こそがモノづくりの一番楽しく誇らしいところではないかと日々考えます。

これは今月出品予定のSV-2300LM / 300B(特選中古)の内部。整備が終わり申し分ない状態です。でも日々アンプのお腹の中を診て、聴診器を当てるようにテスターを当てて、心電図を見るようにオシロの波形を観察するなかで、何か出来ることはないのか…と考えながら作業を行います。
その中で生まれる気づきが、次に触る製品に活かされていくのが嬉しいと感じる毎日。何事も勉強ですね。