今日はKさんとNさんが一緒に来社されました。お二人ともSV-310EQユーザーでアナログ再生に一家言ある方。お話をしているうちフォノEQのノイズ低減に話題が移っていきました。
たとえば皆さんがフォノEQを含めたオーディオシステムを所有されていて「CDを聴くときは無音なんだけどレコードを聴くときにノイズが気になることがあるんだよね」と思ったことがあるかもしれません。
電気的にはフォノEQが入ることで増幅系の利得がMMカートリッジ使用時で約40dB, MCカートリッジで約60dB増加することとなります。40dB=100倍, 60dB=1000倍ですから極端に言うとMCカートリッジ使用時はノイズも1000倍増える(可能性がある)と理解する必要がある訳です。
しかしながら実用上特に不具合なく使えるのは、様々な対策をしているからです。幾つかあるポイントのうち最も重要な項目が「適切なアース接続」です。基本的にはターンテーブルとフォノEQのシャーシ電位が同一であることが最も重要で、そのために良質なアースケーブルを使用し両者をしっかり接続します。このアース処理がされていなかったり不完全だったりすると電位差から生じたノイズも100倍~1000倍に増幅して後段に排出されてしまうので、結果システムのSNが大幅に劣化することになります。
厄介なのは同じ機器であっても環境によってノイズの量も質も様々であること。「同じフォノEQなのに、どうしてここではノイズが出ないのに家では出るんだろう…」という悩みをお持ちの方もおられるかもしれません。KさんとNさんにそのポイントを味わっていただくために第二試聴室に移動しました。

4台のターンテーブルの出力がセレクターに繋がっていて、そのセレクターでプレイするターンテーブルを選ぶ形となります。当然ですがこのセレクターにはアースターミナルが装備されている必要があり、ターンテーブルからフォノEQまでアース線によってシャーシが同電位になるようにしておきましょう。

電気的に正しく接続された状態でハムノイズが十分に抑えられた状態であることを確認してからケーブル等でチューニングを行い音質向上を図っていきます。上の写真はSV-310EQに
PS-02(電源ケーブル) 参考ブログQrinoケーブルCrystal Ep 参考ブログでチューニングされた状態。出力電圧(伝送レベル)の極めて低いカートリッジからの信号をクリア且つストレートにフォノEQに送り、その鮮度そのままにプリアンプに送るために極めて重要なセットアップです。
ちなみにCrystal Epはいわゆる「仮想アース」のカテゴリーに属するもので、今日述べているアース電位の共通化によるノイズ低減とは少し目的が異なり、”Crystal Epによって見かけ上のシャーシ面積が増大(110cm×100cm相当)することでシャーシ電位とインピーダンスの安定化を図りシステム全体のSN向上に寄与する”というメーカー説明通りの明示的音質向上が図れます。

SV-310EQの入出力+アースターミナル周辺をアップで撮影したところ。大切なのはケーブルやアクセサリーは最後の仕上げで、前提として電気的接続と引き回しが適切でなければいけません。
電源系と信号系はケーブルを分ける, デジタル系とアナログ系は離す, スイッチング電源やステップアップ/ダウン電源(特にトランス方式)の近傍にケーブルを這わせない…等の基本的ルールを守ることで驚くほど再生音が向上し、瑞々しいアナログ再生が可能となります。ぜひ実践してみて下さい。