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”銘木でつくった掘っ建て小屋”にならないために

今日は売約済中古品と新規組立代行品の出荷前点検整備がメインの一日でした。
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これは先週、特選中古で出品させていただいたSV-Pre1616D / 梅の内部写真(出品画面から転載)。売約後にカップリングコンデンサーをASC X335にアップグレードのご希望をいただきました(中古売約後にアップグレードできる製品はその旨各製品ページに記載しています。未記載の製品は基本対象外です)。
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これがアップグレード後の状態。単にパーツ交換だけでなく再測定とエージングも行います。カップリング交換前と測定データはほぼ同一ですが、音の鮮度, ヌケは明らかに向上していることが分かります。

次は組立代行品検査。今回はプリとパワー同一顧客からのセット注文です。
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SV-P1616D / KT88仕様(Arizona Cap.仕様)
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内部拡大写真
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SV-Pre1616D / ECC83仕様 (ASC X335仕様)

SV-P1616D / KT88仕様は出力40W+40W, 周波数特性 10Hz以下~100kHz以上(8Ω, -3dB/1W)と十分なパフォーマンスですがPre1616Dを加えるとスケール感, 実体感が増して聴感上のパワー感がグッとアップし効果抜群です。

今日はここまでは順調でした。出荷検査が終わった後に買取品のEQ1616D / 松仕様(キット組立品)の整備スタートを始めたところ…
Gold Lion ECC83, Mullard CV4003, PSVANE WE274B, ASC X335というフルスペック品で売主さんがC to C市場で入手された個体。その後SV-310EQを入手されたこともあってこのEQ1616Dを次のユーザーさんに託したいということで買い取らせていただきました。

しかしこの個体、幾つかの大きな問題がありました。上の画像をみるとオシロの波形も出ていてミルバルの出力電圧もLRほぼ揃っているように見えます。恐らく前ユーザーさんは完全動作品として出品され、買主さんも買取に出されるまで正常動作品と思って使っておられたと思います。

しかし入荷品を測定してみるとMM入力(ゲインLo)でのゲインが正常品よりも6dB以上低いことが分かりました。-6dB=音量でいえば50%(半分)ですので明らかに何かが変です。さらに確認してみるとMM/HighでもMC入力でも同様にゲイン異常が確認できたので、恐らく増幅回路自体に組立不良が潜在しているものと思います。

ある程度、真空管回路に通じている方であればゲインが6dB低い…パスコン(カソードバイパスコンデンサー)の取付位置が間違っていて電流帰還がかかってゲインが低下している可能性を推定されるでしょう。その他で言えばNFBの掛け方がおかしいとか負荷抵抗が間違っているとか様々想定できるので回路図を追いながらオシロで信号で監視しつつ確認しようと思いながら竹ピンセットチェックを始めたところ、ハンダ不良が何箇所か見つかったため、対症療法的修理から完治修理へ目標を変更することにしました。

先週入荷した買取品でも似たようなケースがありました。SV-Pre1616Dで信号は通るものの100Hzで約13dB, 20Hzで20dB以上の盛り上がりが確認できたものです。20dB=10倍ですので如何に本個体が異常な状態であっかかは測定すれば直ぐ分かることですが、聴いただけでは「なんだか低域が出過ぎじゃない?」くらいで済んでしまうかもしれません。

今日、職人さんからの入ったレポートでは配線間違いとカップリングコンデンサーの接続誤りで低域でNFBがかからず発振している危険な状態であることが分かりましたが、上ののSV-EQ1616Dと同様、作った人も使った人も異常に気付いていないというのはとても怖いことです。

日常的に二次取得品(転売品等)の修理依頼をお預かりしますが、「メーカー組立品」,「完動品」, 「メンテ済品」, 「プロ組立品」の大半が何らかの改変をされていたり製作上の問題を有しています。もちろん悪意での改造をする人は誰も居ない訳ですが、残念ながら高級パーツを使っていても技術が伴っていなかったり、パーツ自体が適合品でなかったりことが大半で、結果的に”銘木でつくった掘っ建て小屋”のようになってしまっている個体も少なくありません。

皆さんがお持ちの当社製品で履歴が不明で正しく制作されているか分からない、あるいは正しく動作しているるか分からないという場合は是非ご連絡ください。常軌を逸した不正改造品を除き、当社では二次取得品でもメンテ可能です。まずはお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。




by audiokaleidoscope | 2024-03-24 23:59 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


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