ポイントは力感 ”REF10 NANO”
2024年 03月 15日
デジタル音源をデジカメの画素数に例えた時、大画素の画像ほど色のグラデーションが滑らかでアナログ的(銀塩的)な質感に近づくのと同じで、デジタル音源においても横軸:サンプリングレート(周波数帯域)と縦軸:ビットレゾリューション(ダイナミックレンジ)の縦横の積(=bps)が大きくなるほどアナログ的しなやかさが支配的となり、真空管アンプが有する豊かな倍音との親和性が高まるというのが当時の市場の評価でした。
つまり単にbpsを上げるだけでは不完全で、解像度のあがった音源を真空管の倍音で一層リアルに且つアナログ的質感を加えることの重要性は多くのSV-192S / PROユーザーの皆さんが体験されてきた通りです。
同時に私どもが訴えてきたのは「クロック」の重要性でした。簡単にいえば複数のデジタル機器(たとえばCDトランスポート + DAコンバーター)を併用した時、それぞれの機器に内蔵されている水晶発振子の僅かな誤差によって「ジッター」と呼ばれる時間軸の歪が発生します。例えて言えば皆さんの腕時計と皆さんの腕時計いずれも単体では何ら問題なく機能していても、リファレンスクロック(明石標準時といえば分かりやすいでしょうか)と対比した時に少なからず誤差をもっていて、仮にその二つの時計を併用した場合、その重層的誤差は一層大きなものになります。
2010年頃まではマスタークロックは民生機にはほぼなく、レコーディングスタジオ等、制作の現場でのみ使用されることが多かった訳ですが、2008年にSV-192Sを開発した際、クロック同期の重要性を認識していた私たちは外部クロック入力を設け、当時MUTEC MC-3をオプション設定したことを覚えておられる方もいらっしゃるでしょう。その後、MC-3+, MC-3+USBと進化しジッターとともに位相ノイズも激減し家庭におけるデジタル再生は短期間に一気にレベルアップしました。
その頃から一部のマニアの皆さんが声を上げ始めたのが「10MHzクロック」(略して10メガ)の有用性です。これについては説明の冗長化を回避するため過去のポストを引用しておきます。
このMUTEC REF10は特に”静けさ”、言い換えれば聴感上のSN比の向上にたいへん大きな効果があり、いわゆるアトミッククロック(ルビジウム, セシウム等)利用者が一時期REF10に乗り換える現象が発生し話題となりました。一方で10メガは高価で、なかなか手が出ないという声も多く聞かれた訳ですが、昨年暮れにMUTECから新発売となった「REF10 NANO」について約3ヶ月の試用期間を経て、自信をもってお奨めできるクオリティであることが分かりましたので、私どもでも販売を開始することとしました。
REF10 NANO
今回私どもがNANOを扱う最大の理由は価格ではありません。ずばりその「音の良さ」がその要因です。クロックと音質を直接紐づけるような書き方には注意が必要なのは重々分かっていますが、上に書いた通りRFF10が”SNに効く”のに対してNANOは”力感が増す”のが最大の効果です。
詳細は輸入元のインフォメーションをご一読下さい。